2020/03/19
【<らせん状の羽根>で伝わるかい?・生コン車ドラム内の構造】
「前から思ってたんだけど...、
何でこんな形してんのに、生コン出てくるの?」
大手ゼネコンでの大量打設。
<たて割り>なので、現場に常駐状態(代行試験は6回)
待っている最中、若手の女性現場監督が聞いてきた質問。
この監督、気軽な口調で語りかけてくるので、返答もしやすい。
ラグビーボールを傾けたような形のドラム部分。
生コン車の特徴的な形状といっていいだろう。
ここがグルグル回ると、中から生コンがドロドロと出てくる。
確かに自分もかつて、そんな疑問を抱いていたのを思い出した。
監督の顔を、じ~っと見つめ返していると...
「あ、今、何バカなこと聞いてくるんだ!って顔、したでしょ」
「そんな顔、していません!」(即答しないと厄介だ)
「感じたとしても顔には出しません」(フォロー、になったか?)
同じ業界に長く携わっている弊害がここにある。
かつて自分も感じていた素朴な疑問は、ついつい忘れてしまうもの。
そういう意味合いで、こういった質問はとてもありがたい!
<ウェルカム>&<さて、どう説明したものか>という意味での凝視。
建設全般にいえることだが、『生コン』も専門性が高い業界。
<分かりにくいことを、分かりやすく説明する>ことに価値がある。
『むずかしいことをやさしく、やさしいことをふかく、ふかいことをおもしろく』
作家・井上ひさしの語った言葉は、どんな業界でも適用したい不変の法則である。
さて、手が止まり、あれこれ考えていると...
「ちょっと、それ、やらしてみ」とコテを持っていかれる。
ペタペタペタ...、ペタペタペタペタ...
「ほうほう、ほうほう」とコテをあてながらも女性監督は満足そうな表情。
「ええとですね。あのドラムの中に、羽根が入っているんですよ」
(あれっ、<羽根>で伝わるかな...)
「ドラムの内側に、らせん状に羽根が張り付いているんですね」
(<らせん状>って、他の言い回し、なかったかな...)
「それをグルグル回すことで、生コンが上に上がってきます。
そうして、あのシュートの位置まで上がってくると、落ちるんですよ...」
「ふ~ん...」
伝わったのか、否か?
どちらとも取れるその反応。
返事のトーンは変わらない。
「伝わりました?」
「うん、何となくね」
うわっ、これ絶対伝わってない。
まだまだ<説明力>を磨かないといけないなぁ...
いや、待てよ。
<らせん>、<グルグル>.........、ぽんっ!(閃いた)
「あ~待った待った。今の説明なし。
もっといいの、今、思いついたから、さっきのは忘れて」
とっさの反応なので、
ついついこちらもタメ口で語ってしまう。
「ええとですね。アイスクリームって好きですか?」
つづく
NR試験室 二見