2020/04/19
「生コンをもっと身近に。生コン工場をもっと身近に」雨の日の生コン工場
雨の日には開店休業の生コン工場もまったく雨が降らなければ降らないで困る。雨の日は普段手入れの行き届かないいろんなメンテナンスにおおわらわ。「雨が降ったら降ったでやることいっぱい生コン工場」(池上さん報告)。
生コン工場「雨の日にしかできないこと」
雨の音に紛れて生コン工場では金属と金属が衝突し擦れ合う音が聞こえる。
晴れの日生コンを生コンプラントや生コン車が稼働している時にはとても手が回らない設備点検や修理・交換が雨の日の生コン工場での仕事だ。
透水性コンクリートや残渣式流動化処理土は「雨の日にも施工可能」とはいえ、雨の日の生コン工場では基本的に出荷は止まる。
そうした日にしかできないメンテナンスの様子。
まさに生コン舞台裏と言っていい。
⚫︎骨材輸送ベルトコンベアターンシュートゴムライナー交換
生コンプラントの形式はほとんど同様で、最上階にはこうした「ターンシュート」と呼ばれる設備がある。
ターンシュートはストックヤードから、水平ベルトコンベア→傾斜ベルトコンベアと伝ってプラント最上階まで搬送された骨材(砂、砂利、砕石)をそれぞれの種類に応じて振り分ける設備。
読んで時の如く、ターン(回転する)シュート(上から下へ滑り落とすための装置)。
ターンシュート内部の鉄板を保護するために設置されているゴムライナーは繰り返し滑り落とされる骨材との摩擦で削れていく。
そのため、定期的にゴムライナー(保護材)は交換される必要がある。
こうした交換箇所はターンシュートに限らずプラントのあらゆる箇所に及ぶ。
大量の骨材が都度「紙やすり」のようにあらゆる箇所を擦り磨いているのだ。
⚫︎貯蔵ビンハツリ
こちらは搬送された骨材が種類ごとにストックされている貯蔵ビン内部の様子。
「貯蔵ビンハツリ」は生コンポータル(長岡生コンクリート)特有の作業となる。
⚫︎参考記事:「残コンスラッジ処理システムの全て」
生コンポータルでは現場から持ち戻された生コン(残コン)を100%再生利用している。
再生された材料は生コン用の骨材に用いられるのだが再生されてからまだ若い材料はセメント水和が進行しストックされている状態で締め固め効果も相まって貯蔵ビン内部で一部固結してしまうことがある。
(写真は残コンが再生されたばかりの再生骨材の様子)
そのため、再生骨材は入れ替えをまめにおこなうのだが定期的に人が入って削ることとなる。
実は次の週から大量の再生骨材コンクリートの出荷が予定されており、製造中にビンが閉塞しないよう前週の雨の日にこうしためんてなんすがほどこされた。
生コンをもっと身近に。生コン工場をもっと身近に
池上さんからの共有に改めて気づかされた。
そもそもが身近ではない生コン産業。
そして、さらに身近ではない生コン工場。
さらに、その舞台裏「雨の日の生コン工場」。
こうした一般にはまったく認知されていない舞台裏での出来事をなるべく発信する。
そこにはラストワンマイルに身を置く仲間たちの努力がある。
そんな努力は全国3,200と言われる生コン工場すべてで行われている。
「知られていないということは存在していないのと同じ」
僕たち生コン産業70年の歴史の中に情報発信という文脈は皆無だった。
その結果今の生コン産業がある。
「誰もが憧れるものづくり産業」
とはとても呼べない状況。
生コンポータルでは生コンをもっと身近にする活動を通して生コン産業の再定義を行い社会に貢献できる産業の創造を目指している。
⚫︎生コンマッチング:https://www.nr-mix.co.jp/diy/
では全国の生コン工場の情報をガラス張りにして公開し一般の方々にも身近な存在として認知してもらえるように活動している。
透水性コンクリートの急拡大に見るように、ITは一般と生コン(BtoB産業)の溝を埋めはじめている。
BtoCを意識することでこれまで見出すことのなかった市場が今にわかに立ち現れようとしている。
人口動態に従って低迷不可避な生コン産業も変化することで新しい市場を獲得できる。
ものづくりのラストワンマイルをもっともっと発信することで栄光を手に入れることができるはずだ。
これからも生コンの全てを発信していきたい。
雨の日にも現場ラストワンマイルで活躍する仲間たちの素晴らしい活躍をうもれさせたくない。
宮本充也