2020/04/22
【地味で目立たない仕事・雪かき】
村上春樹の小説では、「雪かき的な仕事」をしている人が描写される。
(<文化的雪かき>と自分の仕事を表現する作家、など 『ダンス・ダンス・ダンス』)
「雪かき仕事」の定義があいまいだけれども、
何となく予測がつくところに、着眼点の良さを感じる。
検索してみると、概ね以下のような解釈が見付かった。
・誰もやりたがらないだろうし、やっても誰からも評価されないような、けれども誰かがやらなければならない仕事
・誰もができることであり、誰もがやりたがらないこと。そして誰かがやらなければならない仕事
・誰の責務ではないけれど、誰かがやらないと結局みんなが困る種類の仕事、などなど。
生コンの現場にも、そんな「雪かき仕事」は多々ある。
その内のひとつ。「雪かき」ならぬ「こぼれコンかき」
ポンプ車のホッパーから、あふれてこぼれてしまった生コン。
それらを、ひたすらかき上げて、ホッパーへと戻す作業。
生コンポンプ車はブームを盛りかえる際、ポンプ内の生コンを逆転させる。
オペも何か行動が変わる際、その警告をブザーで報せるのが一般的。
しかし、そんなポンプオペからの合図もなんのその。
じゃんじゃんホッパーへと、生コンの投入が続けられると...
辺り一面、タプタプタプと、こぼれ生コンの山が現れる。
(ネコ・一輪車2杯分くらいで済めば、まだマシな方...)
あふれて、こぼれているのに、全く気付かない人もいるから驚きだ。
「おっとっと!」と、慌ててストップするも、液体は重力に逆らえない...
生コン運転手も、「ごめんごめん!」とバツの悪い思いをするものの、
生コン車はあくまで、現場の打設の生命線。止める訳にはいかないところ。
車の流れを止めてしまうと、打設の勢いも止まり、結果、滞る。
こぼした当人も、そんなものに構う余裕はないのが辛いところ...
そんな時、現場試験をしている「試験室」の出番となる。
全体最適化を目指せば、自ずとそれが自然な流れ。
生コン車とポンプの狭い隙間に潜って行っての「雪かき」
危険でもあり、姿勢も悪く、身体への負担は半端ない...
自分の過失でもなく、誰からの労いもなく、終わればそれも見えなくなる。
現場での「雪かき」は、やっぱり地味で目立たない仕事です。
NR試験室 二見