2020/12/30
《想定外では片付けられません》「備えてる?もしもの時の生コン製造体制の継続性について」

コロナ禍で世界の景色は一変してしまった。「想定外」なんて言葉はもう使うことができない。長岡生コンクリート宛にBCP特別保証内定通知書が届いた。BCP(Business Continuity Plan/Program)を策定し、その有効性が認められたことになる。年の瀬に、生コン製造を取り巻く危機について考えてみたい。
コロナ禍を想定して仕事してただろうか
事業継続計画とは、災害などの緊急事態が発生したときに、企業が損害を最小限に抑え、事業の継続や復旧を図るための計画。事業継続と復旧計画とも呼ばれる。 類義語としてコンティンジェンシープランがあり、この語も非常事態が発生した場合の対応策をまとめた計画を表すが、事業継続よりも緊急時の初動計画に力点をおいている。 ウィキペディア
3.11の時もそうだった。
「想定外」
2020年、コロナはそんな世界の甘えを徹底的に正してしまったようだ。
働き方改革など政府が笛ふけど全く踊らなかった人々は、コロナという外圧であっさりとリモートに移行した。
「できるじゃん」である。
静岡県伊豆の国市に操業する生コン製造者にとってどんなリスクがあるだろう?
生まれてこの方一度も伊豆の国市を離れたことがない。
子供の頃から今に至るまで、「東海大地震」の発災リスクの教育が浸透している。
いつも怯えて暮らしていたが、3.11が先に起きてしまった。
飲み込まれる海岸線を見ていてとても他人事には思えなかった。
倒壊する建物。
老朽化した生コン工場と基礎構造物。
とても、他人事ではない。
伊豆半島は駿河湾と相模湾に挟まれたロケーションだ。
海岸線での海洋構造物への生コン提供も少なくない。
もし、その時に、津波が起きてしまったら。
また、5億円投じて新工場を新設した最大の理由は老朽化したコンクリート構造物だった。
もし、そのコンクリート構造物(地下ベルトコンベア)のなかで誰かが作業している時に、東海大地震最大震度7が発生したら。
考えたくないことだが、十分にあり得ることだ。
コロナ禍でますます「何が起きるかわからない世界」が当たり前になった。
地球温暖化、天然資源の枯渇、人口爆発による飢餓問題、疫病。
どの問題をとっても、いつ爆ぜるともしれない深刻な問題だ。
なのに、以前の僕たちはどこか当事者意識が希薄で、そんな大きな問題は政府や国連がなんとかしてくれる、くらいにたかを括っていた節がある。
想像力の欠如。
思考停止。
そんな時代に僕はコロナを福音として捉えるべきだと思う。
もう、全てはまやかしだったんだと。
村上春樹さんも日本の政治の怠慢について指摘していた。
( 村上春樹氏インタビュー、首相が紙に書いたことを読むだけの日本は最悪)
その通りだと思ったと同時に、それは政治だけでなく国民全員に当てはまると思った。
もう、政治も頼れない。
補助金だの給付金だって頼れない。
大切なのは自分の頭で考えて自分が行動すること。
こんな当たり前のことすら、先進国日本は忘れてしまっていたようだ。
大切なのは想像力。
最悪の事態は何かをとことん考え詰めること。
そして、その時に取れるアクションについて想像を働かせる。
今回BCPへの取り組みは長岡生コンクリートの池上さんを中心にみんなで行われた。
何が起きる可能性があるだろう。
その時に、自分たちは何をやっているだろう。
最悪の事態、そして最善の対策をあらかじめ想像しておく。
そのことが、BCPにおける最も重要なプロセスなんだと思う。
起きてしまってから考えるよりも、もっと以前に考えておけば、その時を迎えた時にはシミュレーションが済んでいる。
もちろん、その時の金銭としての備えも重要かもしれないけれど。
最も重要なのは、組織にいるみんなで、取り巻くリスクに関する想像力を働かせ、自分たちが事業を継続することによって地域社会に貢献できることは何かをとことん考え抜くプロセスなんだと思う。
それができたことは本当に素晴らしいことだと思う。
水の次に流通するインフラ基礎資材生コンを止めるな。
どんな世界がやってきても、コンクリートは必要とされる。
だからこそ、もしもの時の生コン製造体制の継続性を考えておくことは、非常に重要なことだと思う。
宮本充也