2016/06/05
「建設業界のゆるキャラ選手権」 ※本稿はインターウェーブ社「建設応援マガジンに寄稿したものです」
イケメン
という言葉がある。
見た目がイケてる男子のことをイケメンと呼びならわすわけだが、
「外見がイケてるだけでちやほやされやがって」
と思ったあなたはイケメンではない。
業界のイメージアップのために、イケメンを利用する。
そんな取り組みは調べてみるといろいろあるようで、
佐川急便が以前企画した、
「佐川男子」
などは、代表例だろう。
普段の地味な活動に光を与え、業界のイメージアップを図る。
ただ、僕は、「佐川のイケてない男子はさらにつらくなるなぁ」
などと普段誰にも評価をされずともひたすら頑張っているイケメンではない諸君に想いを馳せ、
イケメンばかりがちやほやされやがってと腹を立てないでもなかったものだ。
イケメンなのに僕もおかしいことを考えるよなぁ、と思う。
さて、イメージアップ。
最近あった「土木の女性→どぼじょ」なんてのも、イメージアップの一手法だろう。
ただ、現実に土木女子なんてほとんどいないのに、ものすごく希少性の高い女性を捕まえて、、
「どぼじょ呼ばわり」
する短絡的な現象は、中世ヨーロッパで4万人以上の女性を犠牲にした「魔女狩り」を想起させる。
一方、町おこしなどで活用された手法「ゆるきゃら」。
田舎のお祭りなどでイベントを盛り上げるときに、活用するキャラクターであり、
・くまもん
・ふなっしー
・さつまるちゃん
・あおまる
などは記憶に新しいところだと思う。
生コンなどもそうだが、不器用な業界はこれまで価値の発信をしてこなかった。
高倉健さんのように、武骨で不器用で回りに野郎ばっかり集まってきちゃう業界。
それが美徳とされていた時代はとうの昔に終了し、
現在はどんなキーワードでもぐぐってみてもらえばお分かりの通り、
「死ぬほど大勢の人や企業が死ぬほど情報発信をしている」
のが現実。
こうした現実の中で、付け焼刃で情報発信をしても、すぐに埋もれてしまう。
だから、「人々の暮らしを守る素晴らしい活動」をしているのにもかかわらず、
世間はそのありがたみを全く理解してくれない、という状態になるのだ。
それでは、土木男子、どうだろう。
いや、実際イケメンのぼくから言わせても、それはどうだろうと思う。
イケメンではない大多数の方々から「ひどいねボタン」が殺到しそうだ。
そこで、「建設ゆるきゃら」となる。
建設ゆるキャラでググってみたところ、
https://www.shinko-web.jp/subculture/000194.html
いるじゃないか、すでにやっている団体が。
しかも、ものすごくいけてないではないか。
余りにも知られてなさすぎるぞ建設ゆるキャラ。
こうゆうのを出口の見えないトンネルというのかもしれない。
建設ゆるキャラの一人「宮本お兄さん」としても、この憂うべき現状に立ちすくんでいる。
そして、これまでの多くのことどもがそうだったように、
アイディア一発勝負のあれこれは、結局寿命が短く、あとになって「あー、あったよねそんなの」となってしまうことが多い。
僕たち建設業のような、普遍的価値を提供する業界にも、現状は情報発信という能力が期待されている。
難しいようにも感じるけれど、
よくよく考えてみると、僕たちは強みに恵まれている。
・全国の現実の測量データ
・水の次に流通する材料生コンをはじめとするボリューム満点の資機材
・実際に地形を変えてしまうことのできる能力
・地域を隅々まで理解している人的ネットワーク
こうした強みを情報発信に上手に連携させることさえできれば、
・イケメン
やら
・ゆるきゃら
等のような変化球に頼ることなく、建設業が時代の主役になることだって、僕は全然あると思う。
宮本充也