2016/06/08
新事業に対する心構え「マーケットインとプロダクトアウト」鵜たちの逆襲
製品開発の用語に、
・マーケットイン
・プロダクトアウト
というのがある。
なにか新しい製品・工法・技術を世に問うにあたって、
・市場が何を求めているかからスタートする→マーケットイン
・自社の強みやできることに立ちそこから市場を創ろうとする→プロダクトアウト
の2つの手法を指すのだが、
建設系でもこの2つの考え方は当てはまる。
土木業者や建築業者などにかかわる方なら「新事業あるある」としてご認識されていると思うが、
建設業界で新しい、またはベンチャラスな新製品が生まれると、
たちどころに「××工法研究会」「○○販売代理店会」なる組織が立ち上げられ、
創りだしたメーカーがあちこちの会社にDMを撒いたり訪問したりして、
「この度立ち上がりました××工法研究会にぜひご加入なさいませんか?」
と勧誘をする、あれ。
・××工法研究会
・○○販売代理店会
と聞けばなんとなくみんな集まって楽しそうに感じるが、
実際勧誘をされ、詳しく話を聞いてみると、
・入会金○○○万円
・年会費○○万円
・講習会への参加義務付け
・その他多くのノルマ(やらなくちゃならないこと)
が、さも当たり前のように笑顔で語られる。
ありていに言えば、
「これお前に独占的にくれてやっから、気合入れて普及に力貸せ」
であり、
こうした市場創造の在り方は、まさに「プロダクトアウト」だろう。
メーカーや売る側の立場としたら、こうした組織を作るのはなるほど生きるための策なのかもしれないが、
売らされる側の立場から言えば、まるで
「鵜飼の鵜」
である。
つまり、その商品が売れたらうれしいのは鵜飼のメーカーさんで、
やっと売れたと思いきや、販売価格や仕入れ原価やらなにやらかにやらまですべて、
「厳格なルールに縛られている」
それでは、建設業界におけるマーケットインはどんな形だろうか?
例えば、建築業者や土木業者が、
「特定の製品にかかわらないグループ」
を作っておいて、そこで交流をする。
GNNやASJ(アーキテクツ・スタジオ・ジャパン)やYDN・その他の、
「実際に市場を見て知っている人々」
がグループを作る。
彼らは、実際に「市場がなにを求めているかを知っている」人たち。
だから、「なにが売れるか」知っている。
ただし、これまでの建設業でいうと、1社単独でなにごとも挑戦するのは難しいため、
「何が売れるか知っていて」も、「実際に取りくむだけの力がない」となる。
そうすれば、
・売りたい人
と
・売らされる人
の相対的力関係が逆転することになる。
売らされてきた人達(鵜)が徒党を組むのだから、これは凶暴である。
鵜飼「これお前に独占的に売らせてやっから、気合入れて普及に力貸せ」
ではなく、
鵜たち「これ、売れるから、製品にして持ってこいや」
となるわけだ。
あまた現れる新製品。
そのどれもが「なんかすごくよさそう」という甘美な輝きを放っている。
厳しい市場環境の中、僕たちはとにかくいいものを作って(または探してきて)社会に「売らなければ」生きていけない。
本業もある中で、なかなか手が回らないし、仮に手を回したとしても、中途半端で終わってしまう。
そんなことは結構あるはずだ。
そんな時代に、GNNやらYDNやら「連携」は本来の姿である、「マーケットイン」を手軽に可能にする、
中小零細企業に多くのチャンスをもたらすあり方だと思う。
宮本充也