2016/06/29
「社運を賭けた一大事業なんてやらないほうがいい」事業リスク防止
目をぎらぎらさせて、鼻息荒くして、
「絶対、俺、やりますから!誰が何と言おうと命かけてますから!」
みたいな人は実際はうざい。
ただ、
「社運を賭けた一大事業」
というのはいつの時代も必ずあって、しかも勇気ある素晴らしいこと、
くらいに思われているので、勘違い系の方たちは後を絶たない。
また、その情熱に巻き込まれる周りの人達もたまったもんじゃない。
とかいってる僕はけっこうそっち系のけがあるので、注意します。
中小企業ネットワーク、すもーるさんという団体がある。
情報弱者になりがちな中小零細企業は連携し勉強することできちんと成長しよう、
みたいなアライアンスで、僕もたまに参加して情報を得るようにしている。
そこの主宰をされている山口先生のお言葉で、
・隣接異業種
・売上の5%
の2つ。
新規事業をやるときに、基本的に中小企業はリソースが薄いので失敗しやすい。
だから、
・途方もない業種、業態にチャレンジするのではなく→隣接異業種
・失敗したら即お手上げみたいな投資をするのではなく→売上の5%
という趣旨だ。
冒頭の覚悟(俺、命かけてますから)は大切かも知れないが、あまり発言しないほうがいい。
ちなみに、僕は生コンに命かけてます。
確かに新規事業の歴史を振り返ってみると、この2つは真理だと感じる。
例えば、僕が11年前に「たまたま」透水性コンクリートという技術に出会ったからいいものの、
もし、「漫画喫茶」を始めていたら成功していただろうか?
かりに漫画喫茶じゃなくとも、透水性コンクリートだったとしても、最初に、
「億単位の設備なり契約金に投資をしていたら」
その後の度重なる失敗の数々を乗り越えることができたであろうか?
そう考えると、実にこの2つの鉄則は腹落ちがしやすい。
そして、このところつくづく感じている第3の要素が、
・ITを活用した連携
が、これからは必要不可欠なんではないか、ということ。
・隣接異業種
・売上の5%
という鉄則を踏んでいたとしても、新規事業ってやつは「想定外の連続」であり、
自分が当初思っていた通りに進むことなんて、たった一つとしてない。
言い切れる。
その道なき道を歩いていくときに、仲間がいるのといないのとでは全然違ってくる。
例えば、IWAシステムの開発でもまざまざと思い知らされたことだが、
10の法人が集まることで何が得られるかというと、
・失敗のリスクを、
・開発の費用を、
・実験の回数を、
「10分の1にできる」
今やメッセンジャーなど随時・適時性の高いアプリケーションが便利なので、
その時に感じた疑問や心配をその時に10人の人に相談することができる。
自分ひとりの独善的な発想で物事を進めないので、転ばぬ先の杖が手に入る。
当事者だけが集まっているので情報の品質レベルも非常に高い。
どこかのモニターで商品がもらえるから協力するような「市場調査」と違って、
実際の当事者たちが実際に困ったり喜んだりしている生の声に触れることができる。
このあり方は日本の従来のメーカーが得意だった、
「一方通行の独善的なものづくり」
というパラダイムを破壊しかねないエネルギーを秘めている。
完全にできあがった商品を売り手側の理屈で一方的に売ることは考えてみれば合理性が薄い。
・もしかしたらニーズに刺さらない(うれない)かもしれないのに開発費はかかる(コスト)
・新しいラインやプロジェクトチームを立ち上げても失敗したら無駄となる(リスク)
・1社単独で行うので、実験は何回も行わなければならない
こうした、
「私たちが丹精込めて作った製品は最高だからあなたたち消費者は黙って買いなさい」
というものづくりの在り方にくらべて、
消費主体とともに連携することによる「ものづくり」の在り方は、
適時、随時
・ニーズを知れるし
・ニーズとともにプロジェクトチームが柔軟に組織でき
・関係者全員が共同することで再現性の確認は刻々と行われる
という利点があるばかりか、
もしかしたらこれが一番の効用ではないかと僕は個人的に思っているのが、
「仲間と一緒にやることそのものが楽しい」
眉間にしわを寄せていかにも難しそうな顔をして、
「ここまでするのに実はああでもないこうでもないという苦労話」
を傾けるものづくりの在り方は、否定はしないが、辛そうだ。
それよりも、遊んでるんだか仕事してるんだか全然わからなくて、
常に笑いが絶えずバカをしまくって、それでしかも喜ばれてお金ももらえる。
その方がいいに決まっているし、議論の余地はない。
人は苦労話が好きだ。
製品を手にした時にその裏側にあるとんでもない不幸に飢えているのかというくらい、
「大変だった経験」
は、聞くのもしゃべるのもみんな好き。
だけど、それは少し厳しい言い方のようだけど、
「仕事ができない人がそれを正当化したいだけ」
みじめな自分を守りたいだけ。
こうは書いてみたけれど、それでも新規事業や新製品を成功させるのは大変。
それでも、面白おかしくやりたいし、僕たちはそれができる主体的な人間だから、
・隣接異業種
・売上の5%
と併せて、
・ITによる連携
を駆使して、実りある職業人生を達成していきたいと思う。
宮本充也