2016/08/26
「みんなとけんちく」日本建築学会大会〔九州〕
コンクリートといえば土木にも建築にもその他分野にも使われる材料。
だから、土木・建築両者で別々に微妙に異なる技術発展をしている。
東京など大都市部では生コンは建築に利用される方が多く、
地方にいけばその比率は逆転して、生コンといえば土木資材てなことになる。
僕が生コン工場に入職した当時はこの辺の意味があまり理解できなかったくらいだから、
一般には違いなんてまったく理解されていないだろう。
そんな一方の「建築」の技術の祭典、
2016年度 日本建築学会大会〔九州〕 https://taikai.aij.or.jp/2016/
に勉強にきている。
生コン工場にとっては建築さんも土木さんも、大切なお客様である。
どっちにもいい顔をしておかねばなるまい。
そんな建築学会の大会のコンクリート論文発表の場は、
いわば、建築シーンにおける(生)コンクリートの日本最先端の技術研究が、
発表される場となっている。
10年間で時間を振り返るとその歳月の大きさに感動を覚える。
今日の大会参加もまさにそんな経験となった。
10年前には、
・建築業界のお偉方がなんかメガネかけた感じで議論してそう
・生コン工場の出る幕なし(言われた配合を練ってればよし)
・規格や基準が改定される芽が生まれるような場所
そんな風に、建築学会大会をイメージしていたのだけれど、
なんと、10年後の現在、多くの大学機関やゼネコン、研究所らと肩を並べて、
GNN元気な生コンネットワークにおける関連技術発表が、
なんと10編も発表されるというのだから驚いてしまう。
午前中3編すでに発表を終えているが、
著名な大学の先生や、誰もが知っている有名な技術者の方から、
強い関心を寄せていただき、質問も後を絶たないそんな教室の様子をみるにつけ、
「こりゃ、業界変えられるな、まじで」
と本心から感じた。
10年前、元気な生コンネットワーク(GNN)なんて全くなかったころ。
今立派に論文発表をし関心を集めているGNNの技術者の一人ひとりは、
お互いをまるで知ることがなかった。
10年前のぼくはといえば、地方の生コン工場でただただ組合活動やら新規事業セールスやらをやってて、
きっと他の生コン工場のみんなも、その地域の組合活動や技術活動をしていて、
まったく学会論文発表などとは縁のない暮らしをしていただろう。
今GNNを通してご一緒させていただいている関連企業のみなさんは、
それこそ資格試験のテキストの著者とかにでてきそうなお歴々ばかり。
10年前は、「あ~、なんかテキストに載ってるね」くらいの認識しかなかった方々。
そんな人たち、実物の服を着て歩いている有名な学者や技術者の方々と、
今は普通に当たり前のように研究をご一緒させていただいたり会食させていただいたり、
僕たちの発表内容に称賛を寄せていただいたりもしている。
万感去来するとはこのことだと思う。
一方で、別の見方として思うのは、
人と人に上下とか差とかなんて実はほとんどないんじゃないか
ってこと。
10年前の僕たち生コン屋は建設産業の縦構造の底辺にはまり込み、
生産者としてのプライドを失っていただけ。
実は日本全国・地方にはすごい才能を持っている技術社が大勢いるのに、
産業構造の仕組み上浮かび上がることがなかっただけ、
そのようにとらえることもできるんだなって思う。
もちろん、大変偉い先生や技術者の方々のことは尊敬するし、これからもご指導をしてもらいたい。
ただ、僕たち生コン工場技術者にも、生産シーンにおける技術者としてのプライドを持つべきであって、
その主体的な姿勢でどんどんどんどん学会やら企画委員会やらに発信をすべきなんだと思う。
「天は人の上に人を作らず」
という言葉があるけれど、みんな生まれた時は誰かに100%依存する存在。
社会の仕組み上、なんだか不合理な上下関係が生まれてはいるけれど、
本来良いものを作り上げる際に上も下もない。
ただ、「良いものを作りたい」という目的があるだけ。
今回、日本の建築コンクリート最先端技術に10編もの成果を提出した事実は、
もう、僕たち生コン工場はきちんと自立した存在であり、
生産者としてきちんと日本のコンクリートをリードする存在であるということを証明している。
自信をもってプライドのある仕事をしていこう。
今回発表をされるGNNメンバー、
横森さん、毛利さん、牧野さん、鈴木さん、山路さん、徳増さん、北里さん。
(生コン動態管理システム・暑中コンクリート比較)
本当に素晴らしい成果をまぶしく拝見しています。
10年という歳月はここまで業界の在り方を変化させました。
それぞれの地域で埋もれていたリソースがこれから爆発する時代。
もっともっと良い建設業界を目指して一歩を踏み出すのは他の誰でもない、
僕たち生コン工場です。
宮本充也