2016/08/27
「試験室こそが生コン工場を護っている」ワークショップ
生コン屋には「試験室」という仕事がある。
一般企業でいうところの、技術部・QC・技術研究みたいなところか。
つまり、生コンの品質管理が試験室のマターとなる。
僕自身試験室業務をこれまで経験してこなかったので、
実務について生コン屋にいるくせにまるで知らなかった。
だから、今日福岡で開催された、
GNNワークショップ 「試験室大会」
はとてもいい機会になった。
全国GNNメンバー工場から建築学会が開かれた福岡の土地に、
総勢17名参加し、ほぼ一日主に試験室業務あるあるを話し合った。
今日の冒頭に金沢生コンの野村リーダーがふとお話になった、
「試験室こそが生コン工場を護っている」
というワード。
これが今日1日を総括するとても輝いていた言葉だったと思う。
試験室業務とは生コン工場が抱える矛盾を担当するセクション
経営効率(コスト)と品質をどうバランスしていくか。
が大きな命題となる。
さらに、生コンは文字通り生ものであり、止まっていてくれることがない。
常に動き続けている。
後の工程がある。
のんびりストック場で待機してくれるということはない。
その落ち着きのない相手を管理しなくてはならない。
生コン品質に問題が起きると社会問題になる。
思い出したくない事件だけど、
神奈川県で起きた六合事件では、
半年間にわたって出荷されていた生コンに、
「品質不適合」
が判明し、数十億円ともいわれる損害賠償事件に発展した。
そこまで極端な話を持ち出さないまでも、
試験室業務のどこかに問題点が起きてしまえばそれは即刻
損害賠償
の対象となる。
損害賠償といっても桁がまるで違う。
乃木坂46のライブに同行者を断りもなくタグ付けしてFacebook投稿した時に、
「みんな見てるんですからね?!何やってるんすか(# ゚Д゚) いい加減おこりますよ!!」
に対する損害賠償は人にもよるが、まあせいぜい「ごめん。伊藤さん」で済むだろう。
ただ、家が建って数年して、
「ごめん。あの時ちょっとおなか痛くて間違っちゃってさー。強度半分しか出てないんだよね(笑)」
といわれたらどうか?
もちろん、取り壊す料金と新築の料金、その他損害を数えていくと、
簡単に数千万円の世界となる。
その数千万円という金額、ぽんと簡単に払える生コン工場はあるだろうか?
企業全般にいえることだけれど、
営業は売り上げを創るセクションだからわかりやすい。
「頑張ったね。よく売り上げたね!」
と褒めやすい。
一方の試験室はどうだろうか?
「おかげさまで、数千万の損害賠償にならなくてすんでいるよ、この1m3が!」
と褒めづらい。
それだけに、底知れない安定感が必要なのだろう。
野村さんの言葉に、
「常に次の工程のことを考えて仕事をしよう」
とあった。
つまり、次の工程にも必ず人がいて、その次その次と行けば社会全体になる。
という意味だと捉えたい。
普段あまり目立たず、外部との交流も図られづらい試験室という職業。
そんな試験室こそ、
「試験室こそが生コン工場を護っている」
んだろうし、もっといえば、試験室こそが社会インフラを守っている、
とすることだってできる。
あなたの住む家、働く職場。
そんなすべての場所が全国にいらっしゃる試験室職員の目立たない努力でなりたっている。
今回のワークショップも、本当に掛け替えのない大切なことを、
たくさんみんなと共有することができた。
これだから仕事・生コンはやめられない。
宮本充也