2020/10/24
【ちょっとだけ短い脚・tetrapod-6】
いままでは、型枠の形状・施工の段取りといった、
目に見える現場の工夫を紹介してきました。
対して、生コンを打設している時の工夫は見えにくい。
何しろ、固まってしまえば、製品としては同じですから。
同じ型枠で、同じ場所、同じ配合で製作している。
そりゃあ、同じものが出来上がるだろうことは想像に難くありません。
しかし、打設時にだってちょっとした工夫をしています。
そこが見えない工夫であり、見えない美学でもあります。
さて、生コンは水で練って作る製品です。
なので、時間が経つと一定量の水が分離します。
この現象は、<ブリージング>などと呼ばれ、
それに伴い、抜けた水の分だけ打ち込み面が下がってきます。
型枠の高さが大きければ大きいほど、
この下がり寸法も大きくなるのが一般的。
では、下がった分はどうするのかというと...
時間が経ってから、もう一度、固まる前に継ぎ足します。
これによって、型枠に満充填され、
テトラポッドの4本の脚長が揃うことになる。
実はこれ、海岸で実物を見た時に、
継ぎ足していない製品を見つけたことがあります。
1ヵ所だけ、他よりも短い脚...
そんな専門的な視点では、誰も見ていないでしょうけどね。
NR試験室 二見