2023/11/04
生コン組合公認で始まったCCU製造と資源循環・脱炭素コンクリートの製造
静岡県伊豆の国市にて創業するICC(伊豆中央コンクリート)は地元生コン組合(静岡県東部生コンクリート販売協同組合)のメンバーとして「残コンst」「ヌテコン」組合公認における製造・出荷を始めた。
始まる! 生コン組合の資源循環コンクリート販売
いよいよ組合単位での資源循環コンクリート
組合参事会(※静岡県東部生コンクリート販売協同組合)で残コン由来の資源循環コンクリート(※「ヌテコン」や「2×3コン」)の出荷に関して再度話をしてまいりました。まずはステコン領域をターゲットとした10〜12N相当の製品を-1,000円で自社小口客に向けて販売をしていくつもりと伝えました。
一部の意見としては、「自社顧客販売といっても値段に差が出ればそっちに流れる可能性は十分考えられる」「小口はともかくこれからは支店業者がそういうコンクリートを使いたがるとなると主に田方中央エリアの物件への影響が出そうだね」「基本的には賛同するが値差への影響は十分考えられるので1年くらいやってみて問題があれば都度修正すればいいのでは」こんな感じの意見でした。
本来は値下げしないで販売できれば良いですが、付加価値だけでは買ってくれず、同じ値段ならJIS品でということになり結果、できました、売れません、になってしまったらやる意味がなくなってしまうと伝えました。
ゆくゆくは近隣の工場から残コンや回収骨材を購入してそれを原料に資源循環コンクリートを出荷していければお互いにWINWINな関係になるのではと伝えました。沼津LLPからは水処理施設が完成し今後発生した回収骨材を使ってもらえるのかとの問い合わせも頂いてます。
いずれにせよICCとしては陰でコソコソやるつもりはなく今回のように全てオープンにして問題があるようなら都度修正しながら進めるつもりと言っておきました。日暮さん(東宏生コン)からはこうして話を出してくれたからには営業部会にも話をあげてしっかり検討していきましょうと言っていただきましたので前向きに進みそうです。
(ICC池上さんからの共有)
「ヌテコン」とは?
原材料は全て副産物。セメントは高炉スラグ微粉末に置き換えられ、骨材は残コンを原石とした各種CCU(骨材、微粉末)。副産物が由来だから原価も安い。この「安い」は生コン組合の運営と一見利害衝突と考えられるが、「近隣の生コン工場で発生した残コンの出口」として「安い」を手段とするならば池上さんが主張するようにWIN×WINが達成される。
「2×3コン」とは?
白石建設らで製造・出荷が始まっている「2×3コン」はさらに「スラッジ水」を配合しNセメントを凌駕する強度発現を特徴としている。市場と顧客からの評価は上々でご当地無敵伝説が今始まろうとしている。
残コンstで近隣工場のスラッジ・回収骨材・残コンを受け入れ
なお、現在の残コンstでは以前利用されていた造粒材(re-con zero evoやセルドロンなど)は用いずに残コンを原石にしている。
なお、原石は設備を通じてCCU(骨材や微粉末)に生成される。つまり、生コン組合単位で行うことによって残コンは資源循環・脱炭素時代に求められるCCUに生まれ変わることを意味している。
JIS外(非構造体)の市場領域を広げよう!
そんなCCUをふんだんに配合している「ヌテコン」「2×3コン」は現在JIS A 5308に規定されている製品ではないため主に「ステコン」をはじめとした非構造体に用いられる予定だ。その市場規模は「水の次に流通する材料」と言われるコンクリートの5〜10%とも言われている。舗装コンクリートなどJIS外品の市場が広がることで、生コン組合には新たな市場が残コンから創造されることを意味している。
始まる! 生コン組合の新しい役割
1. 残コンstをエリア内各所に設置する
2. 残コンstで残コンをCCU原石とする
3. エリア内砕石工場に原石を持ち込みCCU(骨材、微粉末)を製造する
4. 生コン組合が一括で購入し生コン組合員に販売する
5. JIS外・非構造体の市場領域への販促を組合として行う
6. 資源循環と脱炭素がエリア内で完成する
「コンクリートをもっと身近に」
賛否両論ありながらも規模の経済を考えるとやっぱり生コン組合という器にはまだまだ利用価値というか潜在性というかが秘められているよね。現代の文脈にどのように応えていくか、前向きに生コン組合というものを再定義できたらみんなハッピーになるはずさっ。
オワッコーン‼︎
各地に厳然と存在している「独占禁止法適応除外」の生コン組合。あるものを批判するのではなく、どのように有効活用するか。そんなことが求められているのかもしれませんーー。。
作者・宮本充也