長岡生コンクリート
創発により紡ぎ出される
コンクリートソリューション

2023/06/15

「湯水のように金を使って作った曲芸コンクリートは売れない」

普段コンクリートに向き合う宮本さんが思っていることをインタビュー形式で紹介。「湯水のように金を使って作った曲芸コンクリートは売れない」



根本的に間違ってるコンクリートの技術開発

 残コン女の子

本日最後のblgは宮本さん疲れたということもあってコラムのように宮本さんの考え方をインタビューする形式で行くことになりました。「湯水のように金を使って作った曲芸コンクリートは売れない」とは一体どういうことなのでしょうか。。
やあやあ、残コンさん。いや、読んで字のごとくなんだ。コンクリートの技術開発って新聞や雑誌を眺めていると不思議に思うことってありませんか? どこにも、生コン屋さんの名前を見かけないんだ。だいたい話題となって出てくるのはスーゼネとかそこそこの規模を誇るゼネコン、大学など研究機関、生コン工場勢で言えばせいぜい會澤高圧コンクリートさん程度だよね。ちなみに、生コンポータルは既往のメディアにどういうわけか嫌われてるみたいで、どんなに頑張っても紹介してもらえないんだけどね汗。これって、おかしいと思わない? ゼネコンはあくまで「使う人」であって、コンクリートを作る人ではない。大学や研究機関はあくまで「研究する人」であって現場で実装可能なコンクリートを作れるわけないよね?

 宮本

 残コン女の子

言われてみれば、確かにその通りですね。TOYOTAは車屋さんで車を実際に作ってますし、SONYは家電屋さんで家電をちゃんと作ってます。でも、コンクリート産業に関して言えば、技術開発の担い手に生コン屋さんの姿はあまりみられません。。

高流動コンクリートの例

 残コン女の子

一体、どうして、そんなことになってしまったんでしょう。。

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https://concrete-mc.jp/high-flow-concrete/

今日も日経新聞に大きく取り上げられてたけど、わが国カーボンニュートラルコンクリートをゼネコン分野でリードする鹿島の坂田昇さんから以前伺ったところによると、岡村甫先生が1986年に提唱された高流動コンクリートの開発には多くのゼネコン技術者や大学など研究者が集められたらしいんだ。そして、そこには生コン屋さんは一人もいなかったらしいんだよね。その理由というのがまさに「独占禁止法適応除外」の裏付けとされている、資本に劣る生コン工場は保護しなければならない、つまり、技術開発に耐えられるだけの組織ではない、という理屈だったんだ。
つまり、素晴らしいコンセプトであるにもかかわらず、高流動コンクリートの開発は内山アドバンスの柳内光子が言うところの「生コン屋さんを置いてけぼりにしないでちょうだい怒」状態になっちゃったわけさ。
残コンさんがもし車屋さんだったとして、大学や利用者(一般人)からあれこれ言われて押し付けられた設計図を作って車を作ろうと思うかな? それと同じことを、わが国コンクリート産業はやっちゃってるっ!てことなんだ。

 宮本

再生骨材コンクリートも同じ

 残コン女の子

確かに、自分で普段作ってる製品作りにご助言をいただけるならまだしも設計図を押し付けられて作るように強要されるのはいやです。。

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https://www.oreyume.com/magazine/learn/19844/

まさに、ACRACさんがリードする再生骨材コンクリートなんかもそれなんだよ。生コン屋さんである宮本さんなんかRRCSでご一緒してる柴谷会長に随分前から入会をお願いしてるのに受理いただけない再生骨材コンクリートなんて、需要が伸びるどころか減ってるからね。50年近い歴史があるっていうのにだよ?
まさにこれも、生コン屋さんではない誰かが作った設計図(規格)を生コン屋さんに押し付けようとしているから起きる不幸だと思うんだ。

 宮本

回収骨材は? スラッジ水利用は?

 残コン女の子

宮本さん、ACRACのお仲間に混ぜてもらえなくて拗ねてるんですね。。
確かにそう考えてみれば、JIS A 5308で規定されるあらゆる取り組みもそういえば生コン工場が作ったとは言えないですよね。。

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https://www.nr-mix.co.jp/new_nama/blog/post_64.html

米子の事件なんてまさに象徴的だったよね。回収骨材を経済産業省は認めるけど国土交通省は認めないって事件ね。これも結局は生コン屋さんが作るのに参加してないから生じた事故のようなものさ。そして、今なお回収骨材やスラッジ水の利用は限定的であまねく一般化されているとは言い難い状況だね。

 宮本

どうなる? 粒状化再生骨材

 残コン女の子

そうなってくると心配なのが今話題となっている残コンを利用して作る骨材「粒状化再生骨材」のJIS化なのですが。。

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RRCS(分科会長・明治大学小山明男教授)らで取り組んでいる粒状化再生骨材のJIS化に国費の補助が決まった。

確かに心配になるよね。でもね、残コンさん。本件についてはこの僕生コン屋さん歴23年目の宮本さんが都度都度警鐘を鳴らし倒して釣鐘ぶっ壊すくらいの勢いでコミットするから大丈夫。それに、委員のメンバーを見ても生コン工場が多く入ってるし、実務に明るい人たちで構成されているから安心してよっ。他の作ったはいいけど使われないようなコンクリートにはしたくないからねっ。

 宮本

気をつけろ!国プロ

 残コン女の子

最後になりますが、脱炭素・再生エネルギー関連で巨額(2兆円)の補助金がつけられているコンクリート開発分野ですがこちらも十分注意しなければなりませんね。湯水のようにお金を使って曲芸コンクリートを作ったはいいものの生コン工場らが全く製造しませんでした、なんてなったら単なる税金の無駄遣いのお祭り騒ぎですから。。
その点も宮本さんがとっても危惧しているところなんだ。生コンポータル(有限会社 長岡生コンクリート)としてはCUCOにも参画しているしCPコンクリートのRRCSにも加盟したりなど無縁ではないからね。国を挙げたお祭りが単なる税金の無駄遣いでした、なんてことになったら将来世代に顔向けできないよ。今もまさに渦中にある脱炭素コンクリートも広く一般の普通のどこにでもある生コン工場で普通に作れるようにすることが生コンポータルの使命の一つだと思っているよっ。
「コンクリートをもっと身近に」
僕たちが作っているコンクリートが本来の貢献を果たせるようにするためにも、誰でもない僕たちコンクリートを日々作っている生コン屋さんこそが今こそ立ち上がるべきなんだねっ。
オワッコーン‼︎

 宮本

 残コン女の子

ぉ、おわ?
宮本さん、インタビューお疲れ様でしたー。生コン工場の皆さんもどうぞ頑張ってくださいー。

作者・宮本充也

宮本 充也

主な著者
宮本充也

1級(舗装・造園・建築・土木)施工管理技士/コンクリート主任技士・診断士

危険物取扱責任者(乙4)/毒物劇物取扱責任者/日本農業検定(1級)/エクステリアプランナー(2級)/運転免許証(大型・中型)

勉強中の資格:採石業務管理者/2級FP技能士