2020/06/05
「花王の製品はどの店でも買える」【生コン】インターネットと企業間連携が拓くBtoC市場

BtoCを志向し始めた生コン産業。 バズった《土間コン》ドライテック(透水性コンクリート)は急速に日本の地面の常識を変えようとしている。そのことで広がる生コンラストワンマイルの活躍のフィールド。「花王の製品はどの店でも買える」。生コンは閉鎖的な流通に抑圧されるのではなくもっと身近な存在へ。
「生コン産業の解放」透水性コンクリート普及の意義
関東ホームセンターの雄ジョイフル本田の本社(茨城県土浦市)前で大里ブロック木村さんと記念撮影。
もちろん、観光で訪ねたわけではなく、生コン(透水性コンクリート)の提案・商談のために赴いた。
昨年から本格化してきた透水性コンクリートの流通構築。
事業者向けネット小売MonotaRoに始まり、エクステリアネット販売日本一 エクスショップ、など生コンにBtoC流通からの熱視線が寄せられる。
そして、今度はホームセンターのカインズやジョイフル本田。
いずれも、生コンのBtoC販売というアイディアへの反応は悪くない。
従来、生コン流通はゴリゴリのBtoB縦割り・階層型で閉鎖的・保守的。
生コンの歴史は閉じた世界で僕たち生コン従事者(ラストワンマイル)を抑圧してきた歴史と言っていい。
一般(BtoC)にその価値を発信する必要も手立てもなかった。
そのため、産業は内向きな発展を遂げてきた。
ヒエラルキー・階層のいただきに位置する国家が発注する仕事をルール(規格)に恭順な1つ下の階層がさらに下層に対して統制を行う。
市場は特定の全体構想(中央集権)が作り出し上意下達は下層にルールに恭順であることを要請する(指令)。
上層に搾り取られわずかに降ってくる富にあやかるのは最下層に位置しカルテルで守られた生コン産業(統制)。
そこに社会一般(BtoC)に対するセンスなど微塵もない。
そもそもそんなセンスなど必要とされない。
一方、全国有志の生コン工場らで組織されたメッセンジャーグループ「【透水性コンクリート】情報共有」。
日に10件もの一般や施工者からの引き合いが寄せられるようになったのはここ1〜2ヶ月のことだ。
決められたルールに恭順につき従ったわけじゃない。
誰に指示されるわけでもなく自主的にインターネットで情報発信をし、企業間連携で全国の供給・施工体制を構築してきた。
その結果、自立分散型の新しい生コン産業が芽吹こうとしている。
関係者は新しい産業構造の萌芽を日々実感している。
「花王の製品はどの店でも買える」
ジョイフル本田での商談の中で印象に残った言葉だ。
いろんな販売方法や方針があるかもしれない。
門外不出など希少価値を狙った売り方だってある。
それは否定できない。
BtoCで考えた場合、生コンが選択すべき販売方法はどのようなものがあるだろう。
水の次に流通すると言われている材料「生コン」。
特に地方は人口減少(半減)の影響をもろに受け深刻な低迷を続けている。
ダインサイジング(2工場、3工場を1工場にまとめる集約化)も限界に来ている。
従来の中央集権と階層を前提とした産業構造の中には市場の広がりやチャンスは見出すことができない。
そんな環境で芽吹き始めたBtoCというフィールド。
中央集権的な特定の全体構想につき従う必要はない。
辺境にいる僕たちが主体的に行動を起こせば生まれる市場。
今関係者は興奮の中でそのフィールドの開拓に打ち込んでいる。
生コンのBtoCを一般化するための鍵は流通、そして供給体制
もう、無意識なまでにコンビニで手に取るその商品、例えばペットボトルの水。
そこにはセールスマンの必死の説得はない。
顧客に届くための市場は完全に整備され、無意識の内に顧客のニーズは満たされていく。
「花王の製品はどの店でも買える」
この境地。
自然と人が調和する世界を創造するための必要不可欠な手段。
流通と、供給体制。
今供給体制は生コン300・施工500を数えるようになった。
とても十分とは言えないながらも全国ある程度のエリアに価値を供給できるようなりつつある。
そして、流通。
「コンビニで無意識に手に取る商品」
こうならなくては生コンはBtoCを拓いたとは言えない。
今僕たち生コン産業が辺境でBtoCを志向する上で拓くべきブレイクスルーは流通の多様化と供給体制の構築。
一般化した生コンBtoCが解放する《生コンラストワンマイル》
⚫︎参考記事1: 「現場最前線の工夫が世界に共有される時代」大里ブロック工業
⚫︎参考記事2: 「せいぜい1日4〜5回転だったのが多い日には8回転も走ってますよ!」大里ブロック・残水カット
閉ざされた産業生コンの辺境(ヒエラルキーの最下層)には見出されるべき素晴らしい才能や価値が埋もれて来た。
インターネットと企業間連携が拓きつつある生コンBtoCはそうしたラストワンマイルに光を当てる。
そのきっかけとしての透水性コンクリート。
今はまだ特別な透水性コンクリート。
顧客が意識するまでもなく透水性コンクリートを希望するまでにはなっていない。
透水性コンクリートだけじゃない。
生コン産業の辺境で埋もれている素晴らしい価値はもっともっと環境や社会にとって貢献できることがわかっている。
だけど、「知られていない」ことでその価値はその貢献を果たしていない。
ヒエラルキーの最下層で埋もれ抑圧されているに過ぎない。
その価値を解放する。
「知ってもらう」ために必要なこと。
インターネットと企業間連携にひたすら打ち込み、流通と供給を整える。
すると、透水性コンクリートをはじめとした辺境で埋もれていた先端コンクリートテックが広く世界に解放される。
そのことは埋もれていた生コンラストワンマイルに新たな活躍のフィールドを提供する。
知られていないだけ。
水の次に流通する材料「生コン」のイノベーションは地球環境すら変えてしまえかねない可能性を秘めていることを僕たち生コンラストワンマイルは知っている。
自然と人が調和する世界を創造するコンクリート。
大地を削らない、汚さない、蓋しないコンクリート。
世界の景色を変えるために僕たちが選ぶべき道。
日々の活動で僕たちは心根で少しずつ理解し始めている。
既存産業の最下層で抑圧されているのではなく、自らが主体的にアクションを起こす。
新しい市場と顧客を自らの手で創造する。
その市場規模は透水性コンクリートだけでざっと4,000億円規模。
70年を迎えた生コンが今新しい局面を迎えようとしている。
そして、数年後にはガラリと産業の常識を変えてしまっていることだろう。
そのことで世界はもっと良くなるはずだ。
宮本充也