2022/01/01
「2022年透水性コンクリート(ポーラスコンクリート)書き初め」

新年明けましておめでとうございます。今年2022年が関係する身近な全ての皆様にとって豊かな実りある1年となりますよう関係者の一人として自身の貢献をお約束いたします。今年2022年透水性コンクリート(ポーラスコンクリート)事業方針について。
(写真は それぞれに悲しい境遇をもつ2匹のトラの赤ちゃん...対面後、すぐに打ち解ける から引用)
2022年からのポーラスコンクリート
昨年はコンテンツマーケティングも充実し、ESGやSDGsなどの風潮からポーラスコンクリートの性能が再評価され、さらにはプロダクトが普及するための階層構造ではなくシームレスな流通系の土台も完成した。
⚫︎参考記事: 「2021年透水性コンクリート(ポーラスコンクリート)書き納め」
テクノロジーとしては40年の歴史を数えるポーラスコンクリート舗装(パーミアコン)と同様の構造を有するドライテックは主に得意とする戸建て・共同住宅の外構・エクステリア周りの舗装にその普及をさらに広げることになるだろう。
2019年度と比較するとまだ決算は閉じてはいないもののドライテックは135%の成長を記録している。
売上規模としては大した成長率ではないように見える。
それには理由があって、比較的売上規模が膨張しやすい材料・工事共の受注や材料販売をなるべく抑え、キーマテリアル「F材」(フッコー製造)の生コン工場向け販売に意識的にシフトしたことによる。
例えば、ドライテック2m3(16m2)用いる現場があったとする。
こちらを、①材料・工事共の責任施工で受注した場合を仮に10,000円/m2で受注したとして、160,000円の売上が立つことになる。
一方、②材料(ドライテック)販売で考えれば、2m3×40,000円(単価)=80,000円。
③キーマテリアルの販売として、製造・施工を完全にご当地にお委ねした場合は、F材単価を仮に10,000円として、20,000円。
もともと、①や②である程度の売り上げを保全していたのだったが、インターネットの拡散性を考えると、①や②では手離れが悪すぎて、結果成長を鈍化させる懸念があるため、売り上げが激減しようともスケーラビリティを選んだ。
当社事業規模では①や②を前提とした成長ではとても追い付かないのだ。
お分かりにように、①に比べて同じ1つの案件で売り上げは8分の1、②に比べれば4分の1に縮小してしまうのだが、僕たちはここ数年敢えて③の業態を意識的に選んだのだった。
通常であればキーマテリアル販売(③)に移行すれば間違いなく減収となる。
それが、2016年から始まったインターネット1stからこっち常にドライテックは売り上げ規模でも成長し続けてきた。
仮に成長が止まっていたら8分の1や4分の1に減収していたはずなのに、135%と力強く売上額で成長を続けてきたのだ。
意味合いとしては200〜300%の堅調な伸びと見ることができる。
一旦形成されたシステム(流通系)の循環は止まることはない。
透水性コンクリート「ドライテック」は引き続き世界の飢餓を癒すべく全国各地の製造・施工ラストワンマイルに支えられ消費ラストワンマイルに届くことになるだろう。
一方、上記①(材料・工事共)、②(材料販売)から③(キーマテリアル販売)への大転換にもボトルネックがあった。
①はさておき、②材料販売の場合、「仕入れ先が見つからない。見つかっても初回取引なので、先現金で購入」と言う問題だ。
施工者としては普段取引をしている生コンクリートの方が普通に注文して普通に届くし、例えば末締め末払いのような普段のフローで支払いをするだけなので面倒がない。
一方、ドライテックとなった場合、この普段のフローでは無くなってしまう。
何やら特別なものを手間をかけて購入して初めて施工すると言うリスクを取りながらなんとか工事を完成させる。
支払いだって、先に現金を要求される場合が多くキャッシュフローも痛む。
とはいえ、当社生コンポータルとしても、日本全国47都道府県に散らばる無数の施工者の一々に信用取引(口座取引)を開くことはできない。
結果、「わざわざ面倒なことせずに生コンでいいじゃん、生コンでゴリ押ししよう」という施工者心理の事業リスク。
そこに、イノベーションが現れた。
⚫︎参考記事: 「事業者の方なら材料を《信用取引》《掛け》でご購入いただけます。ご面倒な手続きは一切ありません」生コンポータル
マネーフォワードがリリースした決済・請求・与信代行サービスMF KESSAIがプロダクト(ドライテックや、オワコン)の仕入れに悩む施工者の悩みを解消することとなる。
審査期間最長2営業日、与信通過率99%以上、手数料0.5〜3.5%、施工者の支払い条件は尊重され、与信は全てMF KESSAIが担保する。
信じられない金融商品が昨年ローンチされており、当社生コンポータルは既に契約を済ませ今年から無数の施工者に口座取引を開設することになる。
ポーラスコンクリート事業がスケールするための最終ボトルネックとなっていた②施工者へのワンストップでのストレスのない材料販売が実現する。
このことは結果的に消費・施工・製造の循環をより円滑にする。
ポーラスコンクリートは生コン同様さらに淀みなく流通していくのだ。
透水性コンクリート「ドライテック」につづき、昨年は造粒ポーラスコンクリート「オワコン」も始まった。
ドライテックが駐車場など高性能を要求される領域に適応されるに対して、オワコンは雑草・ぬかるみ・水たまりの解消のみを要求性能とする廉価版として位置付けられている。
ドライテックとのカニバリゼーションを懸念する向きもあるのだが、生コンポータルとしてはそのようなリスクは一切ないばかりかシナジーが期待できると考えている。
その理由としてまずは、そもそもポーラスコンクリート自体が現在ほとんどシェアを占めていないと言うことが挙げられる。
日本の舗装の95%はアスファルト舗装であることが知られている。
さらに、そのたった5%のコンクリート舗装の中でも5%にすら到達していないのがポーラスコンクリートの占有率だ。
大洋にこぼれ落ちた水滴にもならない小さな占有率でカニバるもなかろう。
さらに、競合相手がドライテックとオワコンではそれぞれ全く異なる。
ドライテックは高性能、つまり土間コンクリートやアスファルト舗装と結果的に競合している。
価格もそれなりの価格が提示される。
一方、オワコンは「雑草が生えなきゃいい」「安けりゃなんだっていい」「ぬかるまなければいい」「砂利のように散らからなきゃいい」と言う市場セグメントを対象としている。
つまり、防草シートや防草マット、砂利敷のような領域に提案される価格もそれなりのプロダクト。
そもそもが、土間コンやドライテックなど予算的に大掛かりなことができなかった分野を主戦場とするのだから、見渡す限りブルーオーシャン。
カニバるどころか、互いが互いを強く支え合い急成長していくことだろう。
そんな造粒ポーラスコンクリートだが、昨年8月下旬に着想されたばかりの新技術。
そのため、40年の歴史を数えるポーラスコンクリートと異なり、まだまだ明らかにさせるべき事項は多い。
強度、耐久性はもちろん、各種物性や特性はほとんどが明らかにされておらず、例えばこの技術がコンクリート舗装としてインフラに適応されるためには、まだまだやることがたくさんある。
2022年にはそんな新技術造粒ポーラスコンクリートの研究は加速していくことだろう。
もちろん、生コンポータルは製造ラストワンマイル・生コン屋さんであるため、その点にリソースを割くことはないが、この技術に関心を持っていただける研究は少なくないし、ゼネコンや道路会社からも白羽の矢が立っている。
今年以降造粒ポーラスコンクリートは先行プロダクトポーラスコンクリート舗装と同様様々な実装や研究が生まれていく。
10年後、20年後、どんな進化を遂げているのかは今後の僕たち当事者の努力次第だ。
2022年の見通しは明るいばかりのように思われるかもしれない。
生コン産業全体がそうであるように、当社生コンポータル(長岡生コンクリート)においても生コン製造事業の低迷は鶴瓶落としだ。
もちろん、それに対して何もしていないわけではなく、パートナー事業者らと連携して打開策を模索している。
JIS A 5308や独占禁止法適応除外に守られた生コン産業だったがその制度設計が生コン製造者をこれからも守り続けることは考えられない。
僕たち産業は新しい制度・枠組み・システムを必要としている。
それは政府や大資本つまり、上意下達で用意されるものでは断じてない。
もう、従来の制度設計や枠組みは破綻を迎えているのだ。
僕たちラストワンマイル自身が問題や機会から目を背けず変化していかなければならない。
その新しい兆し、実践の一つとして、透水性コンクリート事業さらなる進化に向けて今年も全力を投じていきたいと思う。
少なくとも僕は駆け抜けます。
本年もよろしくお願い申し上げます。
宮本充也
オワコン工事一式原価例
(生コンビニ仕入れ配送料無料)
◆施工面積40m2
材料費 (配送料無料) | 80,000円 | 40m2 x 0.05m(50mm厚) = 2m3 x 40,000円(単価) |
---|---|---|
工事費 | 70,000円 | 2名 x 35,000円(日当) |
諸経費 | 7,500円 | 5% x (80,000円(材料) + 70,000円(工事)) |
合 計 | 157,500円 |
※単価:165,000円/40m2
= 3,938円/m2
◆施工面積60m2
材料費 (配送料無料) | 120,000円 | 60m2 x 0.05m(50mm厚) = 3m3 x 40,000円(単価) |
---|---|---|
工事費 | 95,000円 | 2名 x 35,000円(日当) + 1名 x 25,000円(手許) |
諸経費 | 10,750円 | 5% x (120,000円(材料) + 95,000円(工事)) |
合 計 | 225,750円 |
※単価:225,750円/60m2
= 3,763円/m2
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