2019/12/02
「生コン屋なのに造園」1級造園施工管理技士試験受験レポート
昨日(2019/12/01)は1級造園施工管理技士(実地)試験が執り行われた。生コン屋なのに造園。資格試験マニアではない1年間の学習とその総括。
人と自然を結びつける仕事が造園施工管理技士
中央大学後楽園キャンパスで行われた造園施工管理技術検定試験。
資格試験の当日はやっぱり緊張する。
これまでおそらく人よりも多くの資格を受験してきた方だと思うけどいっこうに慣れない。
大袈裟ではなく試験前は吐くほど緊張する。
記述試験などは鉛筆を持つ手が震えるほどだ。
自分のチキンっぷりを毎度痛感する。
試験会場までの道のり「行くのやめようかな」と何度も何度も反芻する。
逃げ出し解放されたくなる。
今年の1月15日に合格を決断した(https://www.nr-mix.co.jp/dry_tech/blog/1_8.html)。
毎度決断は痛みを伴う。
7月に学科で、12月に実地。
およそ1年間はある意味で資格試験に拘束されることになる。
そして、その成果はたったの数時間で試される。
⚫︎合格
⚫︎不合格
どんなに苦しんでいろんなことが起きてあれこれあったとしても、たった2つに区分される。
これほど残酷なことはない。
だから、直前に逃げ出したくなる。
いい歳してちびりそうになるほど緊張する。
ドMとかではなく、そんな臆病で小さな自分を見つめられるいい機会だった。
そして、無事解答を済ませ3時前には途中退席で試験会場を後にすることができた。
解答欄の8割がたを自信を持って埋めることができた。
これまでの感触ならきっと「合格」の方を手にすることができるだろう。
ほぼ1年間毎日欠かさず最低30分捧げてきた。
来年3月の合否発表での結果よりもこの1年間「造園」に捧げたことによって僕の中で変わったことのほうに価値がある。
造園は自然と人を結びつけるもの。
例えば解答にはこんなものがある。
⚫︎「根」に求められる品質:根系の発達がよく四方に均等に配分され、根鉢範囲に細根が多く、乾燥していないこと
⚫︎樹木の立て込み作業において留意すべき事項:根鉢の深さ、樹木の「表」「裏」を確かめ、周辺の景観となじむよう、見栄えよく立て込む。
「よく」
「乾燥」
「なじむ」
「見栄えよく」
この辺のワードからもわかる通り非常に抽象的で捉えがたく定量化しづらい。
コンクリートや土木、建築の専門家からすると驚くべき学習テーマだ。
建築、土木、コンクリートは常に対象を具体化し定量化しようとする。
あやふやな言葉は嫌われる。
なにせConcrete(コンクリート)を翻訳は「具体的」「具象」だ。
僕たちは常にあやふやや抽象を嫌い定量化・固定化しようとしてきた立場だと言える。
一方造園は抽象を抽象のままで捉える立場。
それは問いに対する解答にも見て取れる。
極々冷静に考えてみれば自然や万物を定量化・固定化、つまり「支配」しようなんて人の傲慢ということができる。
コンクリート産業が山河を削り作ったその製品で大地に蓋をし続ける。
その営みの傍で人と自然を繋げようとする「造園」というテーマに強く惹かれたのが受験のきっかけとなった。
とにかく造園家の人たちは心が温かい。
透水性コンクリートを通して交流のあるそんな人たちのコミュニティに入れるように知識を体系的に持っていたい。
それが、「生コン屋が造園施工管理技士を受験した理由」。
想いだけじゃダメで、裏付ける体系的知識を備えた上でコンクリートの専門家として貢献を果たしたい。
自然を支配しようとするのではなく、自然と調和するための具体的なコンクリートテクノロジー。
一番嫌なのは知りもしないことをさも知ったかぶること。
毎日の勉強は本当に本当に苦痛だ。
いやでいやでしかたない。
冒頭にも書いたけど試験当日なんか吐くほど、ちびるほど辛い、緊張する。
情けない自分を晒すことになる。
だけど、続ける。
誰かの評価が欲しいわけじゃない。
誰よりもそんな自分を見ているのは自分自身だ。
自分自身に「逃げずに闘い続けた自分」を見てもらう。
それは本当の意味での自信につながる。
たかが資格試験。
されど、資格試験。
生きているうちはきっと永遠に続く闘い。
誰よりも自分に誇れる生き方をこれからも続けていきたい。
新しい自分(造園というテーマに打ち込んだ自分)として。
コンクリートのプロとして今後はアップデートした貢献を果たしていきたい。
宮本充也