2021/01/17
「農機でキャタピラの方向転換が頻発にあります。その度にドライテックが剥がれるか心配」庭ファンに寄せられた質問に勝手に答えるシリーズ#4

人気庭Tuber《庭ファン》に寄せられる一般からの質問は実に市場と顧客のリアルを反映していて参考になる。こうした、FAQにプロの視点からガチで答える・解説することはきっと広く一般に透水性コンクリート(ドライテック)を適正に認知してもらういい機会だ。「農機でキャタピラの方向転換が頻繁にあります。その度にドライテックが剥がれるか心配」に応える。
鍵は応力集中を避けること。平滑であれば荷重は分散される
庭ファン公式:https://springbd.net/
庭、エクステリア界隈で絶大な人気を誇るカリスマ庭Tuber《庭ファン》(YouTubeやHP)には日夜多くの「これからお庭を整備しようとしている人々」から質問が寄せられる。
僕たちプロにとっては、「へ?そんなこと心配してるの?」みたいなことでも、一般の方からすれば切実な悩みだ。
以下に、今回寄せられた質問内容を引用したい。
初めてご相談させて頂きます。長野市に住んでいる者ですが、今回「カクイチ」様に倉庫を施工して頂きます。その際、ドライテックで施工依頼したが、通常の土間コンでの対応のみとの回答。その部分は、別業者に依頼しても問題ないですとの回答です。そこでご相談です。
1、果樹園を経営しており、農機でキャタピラの方向転換が頻発にあります。その度にドライテックが剥がれるか心配です。
2、同じ敷地内に駐車場と今回の倉庫があり、入り口から駐車場までのアプローチ約30メートル約4メートルの場所も数年後にドライテックにしたいと考えています。
水はけが悪いので、ドライテックを検討していますが、農機の強度の問題で土間コンの方が良いのでしょうか?
3、今回の倉庫の施工でドライテックが農機に耐えれるならドライテックにして、アプローチも統一し、全てドライテックにした方が良いと思いますがいかがでしょうか?
倉庫が土間コンならアプローチも土間コンに統一しようと思いますが。見栄えの問題だと思います。
お忙しい中恐縮ですが、宜しくお願い致します。
ドライテックで問題ない場合、エクスショップに依頼使用と考えています。長野市で他のお勧め施工業者をご存知でしたら、一緒にご教授願います。
(お庭のお悩み相談窓口!庭ファンがお答えします!から引用)
生コンポータルからの答え。
ドライテックは従来の土間コンクリートに用いられている生コンよりも高強度な材料で施工されている。
材料が適切な状態(乾いていない、水分が多すぎない)できちんと転圧さえすれば表面は平滑に仕上がる。
ご懸念いただいている、農機でキャタピラの方向転換が頻発にあります。その度にドライテックが剥がれるか心配、は仮に表面に凹凸があり、点で応力が集中した場合に想定以上の荷重が一点にかかり骨材剥離(悲惨)する可能性について。
通常、コンクリートは一旦水和反応が完了すれば、アスファルトやその他樹脂系材料と異なり経年で劣化(変性)することがない。
また、表面が平滑に仕上げ(締め固め、転圧)されることで、応力集中は土間コンの平滑面同様発生しない。
プレート転圧で表面が平滑に仕上げられることで、凹凸など応力集中の原因が払拭される。
よって、頻繁な方向転換(ねじれ、すえぎり)によって骨材剥離が起きる懸念は少ない。
(クローラやタイヤがゴム製であることからも、応力集中は起きにくいものと判断される)。
また、強度の問題で土間コンの方がいい、ということは当たらない。
ドライテックには20t級の車両が頻繁に往来する環境下でも採用された事例があり、その場合は版厚を通常の100mmから150mm〜200mmと調整することにより荷重に耐えるように設計されます。
⚫︎参考記事: 【静岡】「排水要らないし、アスファルトだとたわんじゃうので」変電所入り口厚み200mm
加えて、果樹園敷地内という供用環境から察するに、「目詰まり」が懸念されることを付け加えたい。
頻繁に畑と舗装の間を往来する環境下では畑の土を舗装に引っ張ってしまう。
そうなると、土が透水性コンクリートの水を通すための空隙(隙間)を土で詰まらせてしまい、結果透水性能が低下する懸念がある。
その場合は、高水圧の水などを噴射・流下(吸引)することで性能は恒久的に回復可能。
⚫︎参考記事: 「どうせ目詰まりするんでしょ?」ハイウォッシャーによる驚異の回復力実演
最後に、何よりもものを言うのは、「論より証拠」豊富な施工実績だ。
日本全国いろんなところで!施工実績はこちらではブログを始めてから2000件以上の施工事例が収録されている。
そこでは、農機具以上の重車両が頻繁に往来する現場や、公共施設などの施工事例もご覧いただける。
ご心配のように確かに「見た目はスカスカで弱そう」だが、実際の強度は通常の土間コンよりも硬く、解体したりはつったりはとても人力ではできないほどの硬さだ。
⚫︎参考記事: 「コンクリートカッターで切ると切り口がボロボロ取れて来たりするの?」
見た目は確かに、カミナリオコシみたいにスカスカ、弱そう。
でも、実は、解体するときにはプロの施工者も困らせるほど硬いのがドライテック。
従来の土間コンでは加えて排水のことを心配しなくてはならない。
水勾配により地面が斜めになるだけでなく、排水設備を設置するのに相応の費用が嵩むことになる。
キャタピラの旋回が頻繁にあっても、ドライテックなら大丈夫。
「地球に蓋しない」から降雨がそのまま樹木の根系に浸透するドライテックで素敵な果樹園にしていただけますようお祈りしています。
宮本充也