2021/07/05
《ズルいのはどっち?》「庭コンに《見積書》《プラン》をご提示ください。《無料》で診断・相見積もりを致します」後出しジャンケンワークス(週刊生コン 2021/07/05)

ここ数年で産業の流動性が飛躍的に高まった。これまで停滞していた産業空間の風通しがビュンビュンよくなってきている。これまで見えていなかったあらゆる物事が見えるようになる。「ズルいのはどっち?」後出しジャンケンワークスというコンテンツが拓くイノベーション(週刊生コン 2021/07/05)
0円マッチングと無料相見積サービス
⚫︎先週の記事1: 《ズルいけど無敵》「庭コンに《見積書》《プラン》をご提示ください。《無料》で診断・相見積もりを致します」後出しジャンケンワークス #2
生コンポータルとして情報発信に力を入れ始めて6年が経過するが次第に分かり始める産業の全体像。
20年近く前。
インターネットを活用していなかった頃の僕の営業動線、つまり、情報伝達の脈は画一的でわかりやすかった。
公共発注機関や大手発注機関、コンサル、設計事務所、ゼネコン、工務店、道路会社、商社。
建設産業におけるプロダクトやサービスが流通する際に必ず「そこを通る」受け皿。
その手の会社をローラー(訪問営業)しまくった。
およそ有名なその手の企業や組織は総なめした10年間。
果たして、僕たちが志向するプロダクト(「大地を削らない、汚さない、蓋しない、CO2を収容するコンクリート」)の普及は限定的だった。
市場と顧客の求めていることは、直接サプライヤーである僕たちの元には寄せられない。
それらは既存の産業構造の中を伝って、それぞれの受け皿(発注機関、コンサル、設計事務所、ゼネコン、工務店、道路会社、商社など)が代理して伝える。
彼ら受け皿が市場と顧客の求めをきちんと代理して伝えているかどうかはわからない。
「大地を削らない、汚さない、蓋しない、CO2を収容するコンクリート」を求めない市場と顧客はあり得ないはずだ。
一方、50年の歴史ある再生骨材コンクリート(コンクリートのクローズドループ)や地球に蓋しない透水性コンクリートの普及は遅々として進まない。
まるで、市場と顧客が「大地を削らない、汚さない、蓋しない、CO2を収容するコンクリート」を求めていないかのように装う産業構造とそれぞれの受け皿。
一口で言えば、「売れない」のだ。
求められているはずなのに、売れない、求められない。
売れるはずなのに、売れない。
もしかしたら、建設産業が前提に置いている産業構造にはもはや市場と顧客のニーズを世界に統合する機能が失われているのではないか。
これが生コンポータルや僕がインターネットを志向したきっかけだ。
「お庭づくりは0円マッチング」庭コンを志向したのは「毎日ブログ3本」を実践に移して3年ほど経過した時期だった。
今、僕たちが身を寄せている産業構造「建設」とりわけ、一般の方々との接点が多い「エクステリア」の分野では、一般の人々が必要としていることに対して重厚長大な流通脈が障害になっているという課題を強く意識するようになった。
エクスショップなど建設ECとの協業が始まったことも大きな契機となった。
一般消費者からは見えにくいが、プロダクトやサービスが届くためには、実際にその価値が作られている場所から顧客の元に届くには、多重な流通構造が存在している。
メーカー、卸、一次店、二次店、下請け工事店、エクステリア店・・・。
建設産業でも説明したように、そのそれぞれの受け皿にその流通を保全するためのコストが発生する。
さらに、伝達が多重になればなるほど一次情報、価値は減衰してしまう。
メーカーの意図、作り手の意図、ものづくりのラストワンマイルの意図が曲解されて市場と顧客に届くケースも少なくない。
エクステリアも建設産業構造の片隅で全く同じ構造とプロセス、文化を形成していたのだった。
この気づきはとても大きかった。
既存産業構造ですでに生まれている企業間連携の情報伝達脈を、インターネットでシームレスに受け皿全てをall to allで繋いだらどうなるだろう。
今までの縦割り・階層という構造やシステム、プロセス、文化は必要なくなるのではないか。
それが、「お庭づくりは0円マッチング」庭コンローンチ直接のきっかけとなる問いとなった。
⚫︎先週の記事2: 【群馬】「犬走のコンクリート舗装を断るような怪しからん施工業者対策」モトキ建材・DIY
「お庭づくりは0円マッチング」庭コンの活動、具体的にはこれまでその情報が辺境で埋もれていたままだった施工者や製造業者の情報をインターネット空間で丸っぽオープンにする。
その活動が深まれば深まるほどこれまで見えていなかったあらゆる物事が明るみになった。
本来、顧客に向き合いニーズに寄り添い支えるはずであるべき、施工業者や製造業者が必ずしもそうではない、ということを理解することも少なくなかった。
また、インターネットを利用して「ただ、紹介する」「ただ、繋げる」というだけで、それほど必然性のない手数料収入やバックマージンを得ている「専門家ではない」人々の存在も次第に見えてきた。
インターネットはチャンスであることに疑いの余地はない。
「これまで出会えなかった人と人を出会えるようにする」というc2cやb2cに転換することによる価値の創造はどこに帰属すべきかは、インターネットの専門家ではなく、エクステリアや建設に携わっている人々や消費者に帰属すべきものであるはずだ。
「情報格差を解消しました」それだけでは、その意味合いや重要性はすぐに陳腐化する。
その程度のことでビジネスと呼べない。
収益は永続的なものにはなり得ない。
それはあくまできっかけだったとしても、その先に付加価値、その事業主体者がいる理由を生み出さなければ、インターネットで急速に進化する市場にあってその存在は泡沫のように消える運命を辿るだろう。
僕たち受け皿、プレイヤー、サービス提供者、あらゆる受け皿の全ては、市場と顧客から適正に評価され、「代価を支払うに足る価値」を生み出し続けていなければ、必要とされなくなる運命にある。
そのためには、市場チャネル、流通構造に日の当たらない影があってはならない。
壁も、階層(天井や床)も必要ない。
日の光が当たらない場所で不正は常に発生するのだから。
圧倒的な風通しの良い産業空間にすることで、それぞれの受け皿、プレイヤー、サービス提供者は適正な成長を再び始めることになる。
あらゆる辺境で起きていることは、個人情報などは別として全て白日の元に晒されることが求められているのだ。
⚫︎先週の記事3: 「庭コンに《見積書》《プラン》をご提示ください。《無料》で診断・相見積もりを致します」後出しジャンケンワークス
これこそがまさに生コンポータルや僕が強調したい「後出しジャンケンワークス」の意図となる。
プロダクトやサービスが市場と顧客に評価されるプロセスに、既存業界の都合やしがらみは関係ない。
関係あるのは唯一、その価値や取り組み(プロダクト・サービス)がその代価を払うに相応しいものであるかどうかだけだ。
生コン産業は70年、エクステリア産業は50年を数え、産業を構成する人や企業で形成される「業界」はいつしか、目的化してしまう。
本来、市場と顧客にプロダクトやサービスを円滑に届ける「手段」でしかなかったそれら構造は、途中からその構造そのものの維持を目的にし始める。
いつしか、市場と顧客からの評価を得られなくなっていく。
それがまさに、今の建設、そしてその片隅にあるエクステリアの現実だ。
「後から見積もり出しやがって、ずるい!」
後出しジャンケンはまさに禁じ手だ。
じゃんけんでそれをやったら友達からの信頼を失うだろう笑。
ただ、ことは、ビジネスだ。
ビジネスの目的は、人々を明るくすることだ。
顧客に価値を届けること。
そこに、それまでの業界慣習を持ち込むのはナンセンス。
僕から言わせれば、「ズルいのはどっち?」となる。
唯一絶対の評価者は市場と顧客。
これからも、この言葉を至言とし、生態系の一存在として、しがらみから距離を置き、世界から求められていることに忠実に変化していきたい。
宮本充也