2021/12/26
「生コン製造者向け《オワコン》(造粒ポーラスコンクリート)の残コン取り扱いマニュアル」月刊残コン Vol.53

ポーラスコンクリート「ドライテック」に続き、現在造粒ポーラスコンクリート「オワコン」(雑草・ぬかるみ・水たまり対策)の普及が加速している。月刊残コン Vol.53ではそんな生コン新技術造粒ポーラスコンクリートの残コン取り扱い方法についてご案内したい。
オワコンの残コン取り扱いマニュアル
⚫︎参考記事: 「生コン工場向け《オワコン》造粒ポーラスコンクリート製造マニュアル」
オワコン製造方法:
配送車両のドラム内の残水をカットする。
キーマテリアルY弾を生コン車のカラのドラムの中に所定量投入。
(Y弾を後添加し高速撹拌した場合、ドラム内部で薬剤が飛散し成分が残留する懸念が生じる)
その後、上記配合の生コンクリートをバッチングプラントで製造し、生コン車に投入する。
その際、ドラムの回転は止めておく。
投入が完了したら1分間程度低速で攪拌を行う。
薬剤が原材料生コンに十分なじむのに1分間程度の低速攪拌が必要。
その後、高速攪拌を2分行う。
Y弾の成分が生コンクリートを強制脱水し、ドラムの回転により骨材周囲にモルタルペーストが積層し始めると明らかに攪拌の音が変わってくる。
カラカラと砂や砂利がドラムの中で攪拌されているような音が目安となる。
さらに、目視で材料を確認しながらホッパー入り口まで材料を排出、その後投入側にレバーを戻す、を3〜4回繰り返す。
ワンパターンの一定方向の攪拌ではなく、イレギュラーな動きを与えることにより、造粒を促す効果と、さらにはドラム内部に高分子が残らないように、サンドペーパーの要領でドラム内部を擦る(残留付着物の除去)効果を期待している。
ウサギのフンのように材料が脱水されポロポロになったらオワコンの完成。
配送はポーラスコンクリート同様にドラムを止めて行う。
現地での荷下ろしは待機時間中には低速で投入側にレバーを低速攪拌しておく。
その繰り返しによりドラム内に薬剤(Y弾)の成分が残留しないよう対策される。
残コンが発生した場合の取り扱い方法:
現場で残コンが発生した場合でも、全量納品しやすいのがオワコンの特徴。
もともと、オワコンは残コンソリューションをキーマテリアルとして製造されている生コンクリートであるから、残ったそれはそのまま翌日以降の路盤材料や骨材として現場内で活用可能。
⚫︎参考記事: 「お金払ってるんだから持って帰らず全部置いていけ!」all round
つまり、予定されている駐車場の路盤材や、構造物を設置した後の埋め戻し材料として利用を推奨している。
ただし、現場内に利用する場所を確保できない場合は、それは通常の残コンとして工場に持ち戻されることになる。
ちなみに、この場合荷下ろし後はブレードやドラムを洗浄する必要はない。
通常の生コンクリートと違い、飛沫がブレードやドラム内部に付着しないため、固化する懸念がないからだ。
また、水を投入されてしまうとオワコンに含まれている高分子に影響を与えて逆にどろどろと粘性を帯びることでドラム洗浄が困難となってしまう。
オワコンが生コン工場に戻り処分されている様子。
これはこのまま翌日以降の路盤材料や骨材として活用可能であり、事実残コンを砕いて再生骨材として販売している事例は枚挙にいとまがない。
もちろん、コンクリート塊として処分することも可能。
荷下ろしが全て終わったら洗浄に移る。
この際、薬剤が多少残ることでブレードやシュートに滑りけがある場合があるが、高分子(凝集剤)の成分であるため問題はないものの、気になる場合はRe-con ZERO CLEANERを200ml程度車両に設置されてある洗浄水用タンクに投入しピストルによる水圧で攪拌した水で洗浄すれば除去される。
造粒ポーラスコンクリート「オワコン」はもともと生コンポータルの基幹事業の一でもある残コンから生まれたプロダクトだ。
オワコンの残コンはそれこそそのままオワコン製造用の骨材として利用できる。
生コン工場はある時気づくことになる。
これまで困っていた残コンはRe-con ZERO EVOをはじめとする残コンソリューションで改質できる。
改質されたその造粒物(骨材)は翌日以降そのまま現場の路盤材あるいはオワコン用材料として再利用できる。
造粒ポーラスコンクリート「オワコン」の市場がポーラスコンクリート「ドライテック」同様広がれば広がるほど。
気づかないうちに生コン業界にとって残コンがもはや問題ではなくなっていることに気づく。
むしろ、問題というよりは機会に変貌していることに。
宮本充也
オワコン工事一式原価例
(生コンビニ仕入れ配送料無料)
◆施工面積40m2
材料費 (配送料無料) | 80,000円 | 40m2 x 0.05m(50mm厚) = 2m3 x 40,000円(単価) |
---|---|---|
工事費 | 70,000円 | 2名 x 35,000円(日当) |
諸経費 | 7,500円 | 5% x (80,000円(材料) + 70,000円(工事)) |
合 計 | 157,500円 |
※単価:165,000円/40m2
= 3,938円/m2
◆施工面積60m2
材料費 (配送料無料) | 120,000円 | 60m2 x 0.05m(50mm厚) = 3m3 x 40,000円(単価) |
---|---|---|
工事費 | 95,000円 | 2名 x 35,000円(日当) + 1名 x 25,000円(手許) |
諸経費 | 10,750円 | 5% x (120,000円(材料) + 95,000円(工事)) |
合 計 | 225,750円 |
※単価:225,750円/60m2
= 3,763円/m2
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