2019/11/21
【レッドオーシャン→ブルーオーシャン→ディープオーシャン】
水中不分離性コンクリートの打設現場。
製造の方は、てんやわんやの舞台裏だった反面、現場は至って静かだった。
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シ~~ン...ボコボコボコ。
シ~~ン...ボコボコボコボコ...
時折聞こえてくる酸素供給音。
無線のノイズの奥に、「ハイ」とか「オク」などの指示が混ざる。
ポンプのホッパーには、どんどんと水中不分離コンが吸い込まれていく。
水面下6mの闇の中。ダイバーは黙々と生コンを打っているようだ。
「何人潜っているんですか?」監督に問う。
「1人だよ1人。そんな2人も入れらんないよ、金が掛かっちゃって」
なるほど、「特殊モノ」には何かと金が掛かる。
それは「水中不分離コン」とて同じこと。
「ダイバーさん1人で、いくらくらい掛かるんですか?」
素人なりに気楽に聞いてみたが、しばし唸る監督。
「......う~ん...<あの生コン1台>よりちょっと高いくらい、かな」
さすが現場代理人。ストレートな表現をぼかすのは得意なようだ。
さて、<あの生コン>とは「水中不分離性コンクリート」のこと。
そのヒントからなら、推測の足掛かりにはなりそうだ。
いつもの生コン単価に、特殊混和材(¥4,000/㎏)がプラス。
大型車で4m3積み(2.5㎏/m3)で、手間賃がいくらだとすると...ふむふむ。
頭の中でザックリと演算を進めながら考える...
そりゃあ人工負けしちゃうなぁ、と納得な数字が思い浮かぶ。
ダイバー1人と地上連絡員が、2人1組で作業にあたる。
危険手当も含んでいるとはいえ、なかなかいい単価になるのは想像に難くない。
このダイバーさんは、水中で型枠組んで、溶接もして、生コンを打つ。
地上で同じことをやっても、恐らく半分以下の単価であろう。
同じ作業をするにしても、他の人がやっていない所に価値は生まれるもの。
これこそまさに、「ブルーオーシャン戦略!」海ということも含めて分かりやすい。
生コン屋の戦略としても、JISのコンクリートばかり練る「レッドオーシャン」よりも、
準備・段取りは面倒だとしても、他が煙たがる水中不分離コンなどは「ブルオーシャン」
製造の裏側も大変だったけれども、
打設の裏方も、これじゃあはかどらないなぁ...
水中からダイバーが帰還。
地上班全員、あたたかい目で迎え入れる。
「本日の作業、終了~!」
「お疲れさまでした~」
ちなみに、『建設物価』より、静岡県での潜水士単価を調べてみると。
潜水士(10m未満):59,800
潜水連絡員:37,100
潜水通気員:38,100
なるほど、なるほど。深度によっても、単価は上がるようだ。
これは「ディープオーシャン戦略」⁉
NR試験室 二見