2021/12/14
「破竹の勢いで広がる造粒ポーラスコンクリート《オワコン》快進撃の理由」(月刊透水性コンクリート Vol.53)

主に車両の乗り入れを想定しない、通常砕石敷きか防草シートが想定される箇所に適応されるプロダクトとして今年8月下旬に着想された造粒ポーラスコンクリート「オワコン」が破竹の快進撃を続けている。月刊透水性コンクリート Vol.53
雑草対策のテッパンへ
⚫︎今月の記事1: 【神奈川】「予算ないけどぬかるみや雑草はなんとかしたい。女性だけでもDIYできる脅威の材料オワコン」
なんと、初のガチDIY案件は「女性3名による施工」となった造粒ポーラスコンクリート。
翌日担当のフェラーリさんから様子を尋ねると、「きちんと固まってて水捌けも抜群」との高評価をいただいたという。
恐るべし、オワコンと言わざるを得ない。
なぜ、造粒ポーラスコンクリートは破竹の勢いで快進撃を続けているのか。
その理由はどうやら施工性に答えがあるようだ。
⚫︎今月の記事2: 【静岡】「犬走で普段人もほとんど立ち入らないような場所の雑草・水はけ対策」
こちらの事例もいわゆる素人さんによるDIYだったわけだが、特徴は「特殊な道具(プレートやタンパ)を一切用いず足で踏んで仕上げた」という点。
極論、「撒いて踏むだけ」で完成した。
圧巻だ。
で、この仕上がり。
無論、定規・レーキを用いた後プレートやタンパを用いて平滑に仕上げた方が歩行時の不陸(ふろくといって細かな凹凸)は少なくなるわけだけど、「普段人が立ち入らない場所で、ただただぬかるみや雑草を対策したい」というようなこんな場所ならテキトーDIYで十分なはずだ。
とにかく誰もが異口同音におっしゃるのが、「施工が本当に楽」という点。
少し専門的だが解説を加えると、それはモルタルペーストの存在に理由がある。
ドライテックをはじめポーラスコンクリートは骨材の周りにセメントペーストが被膜する形で形成される。
通常の生コンのように砂の存在がないため、例えば直射日光や強風など乾燥が進みやすい施工環境である場合ドライアウトを起こしてしまう懸念があるため、施工が忙しくなる。
無論、そのことで施工自体が早く終わり、さまざまな点にアドバンテージがあるのだけれど。
一方で、造粒ポーラスコンクリートは「造粒」とあるように、通常の生コンクリート(残コンやフライアッシュ、高炉スラグ微粉末などをふんだんに副産物を配合することが可能)を高分子などの成分により生コン車のドラム内で造粒化させたもの。
つまり、配合は普通の生コンと一緒、つまりモルタルペーストがあるおかげで乾燥しにくい特性を有しているポーラスコンクリートということができる。
「急いでもいいけど、急がなくても特段問題ありません」
これが、造粒ポーラスコンクリートの強みとなっている。
極論だが、生コン車が到着してブルーシートの上にざざざと全部の材料を排出して帰っちゃったとしても、材料が乾かないからさながら砂利のようにスコップや一輪車を用いてその後も施工できちゃう。
生コン車はさっさと次の現場に行ける。
施工人員だって極論1名でもいける。
なぜって、要求性能は車両を通すための「強度」でもなければ、人目につく場所でもないから「見た目」でもない。
ただただ雑草・ぬかるみ・排水が対策されればそれでよしなのだ。
⚫︎今月の記事3: 【茨城】「とにかく、雑草・ぬかるみ・排水。多くを求めないなら安い《オワコン》で決まり」ジャービス商事・當和
そんな脅威の性能を秘めているためか、のっけから市場のリアクションは上々だ。
以前駐車場にポーラスコンクリート「ドライテック」を納品させていただいた一般の方からのご指名で普段人が立ち入らない犬走部分にオワコンは採用された。
(手前駐車場部はドライテックが先行して施工されてある)
こちらもお得意様のジャービス商事の施工によるものだった。
新製品を開発・ローンチとなるとなぜか二項対立、AかBかといった、二元論を話す方がいらっしゃる。
「へ?ドライテックやめちゃうの?」
いやいや、やめるわけないっしょ。
そもそもがモノが違うのだから。
ドライテックは引き続き絶好調で施工実績を伸ばしている。
⚫︎施工事例一覧:https://www.nr-mix.co.jp/dry_tech/case/
ドライテックはオワコンとはそもそもの想定が違う。
ドライテックはこれまで主に土間コンやアスファルトが適応されてきた駐車場を対象として普及を広げていた。
「予算の関係でどうしてもドライテックや土間コンに手が出なかった」分野。
これまで防草シートや防犯砂利が幅を利かせていた地面。
そこに造粒ポーラスコンクリートは市場機会を見出しているわけであって、引き続き駐車場他には愛娘のように愛着のあるドライテックを推奨していく。
造粒ポーラスコンクリート「オワコン」はこれまで僕たちがさまざまな人や技術と出会い経験してきた全てのものが有機的に結びつき像を結んだプロダクトだ。
誰一人として欠けていたらできていなかっただろうとそう振り返っている。
⚫︎参考記事: 《雑草革命》「防草ポーラスコンクリート《オワコン》開発プロジェクトローンチ」陽光物産
これまで生コンポータルでは「残コン」「リサイクル」「循環」などをテーマに主にドライテックやRe-con ZEROといったプロダクトに取り組んできた。
その道程でさまざまな人々との交流があり、福山の陽光物産を訪ねていたときに「雑草対策という市場領域は非常に広大」という話から像を結んだのが造粒ポーラスコンクリートという着想だ。
奇しくも僕の誕生日(8月22日)に近い8月20日に生まれた。
それまで「残コン」「ポーラスコンクリート」には交わる領域がないとすら考えていたところに突如電撃のように両者が結びついた。
神がかりのような体験だったと振り返ることができる。
そこからは早かった。
電光石火とはこういうことなのだろう。
3ヶ月に満たない時間で実際の現場に適応・実装、つまり売れた。
そこから1ヶ月で今に至る。
寄せられる問い合わせはとんでもなく太い。
パートナーエクスショップ(エクステリア資材ネット販売日本一)でも取り扱い第1号案件が決まった。
いよいよラストワンマイルで誕生したプロダクトは世界の飢餓に出会ったようだ。
「破竹の勢いで広がる造粒ポーラスコンクリート《オワコン》の快進撃の理由」(月刊透水性コンクリート Vol.53)
来月はどのような景色をお見せできるか、今から楽しみでならない。
宮本充也
オワコン工事一式原価例
(生コンビニ仕入れ配送料無料)
◆施工面積40m2
材料費 (配送料無料) | 80,000円 | 40m2 x 0.05m(50mm厚) = 2m3 x 40,000円(単価) |
---|---|---|
工事費 | 70,000円 | 2名 x 35,000円(日当) |
諸経費 | 7,500円 | 5% x (80,000円(材料) + 70,000円(工事)) |
合 計 | 157,500円 |
※単価:165,000円/40m2
= 3,938円/m2
◆施工面積60m2
材料費 (配送料無料) | 120,000円 | 60m2 x 0.05m(50mm厚) = 3m3 x 40,000円(単価) |
---|---|---|
工事費 | 95,000円 | 2名 x 35,000円(日当) + 1名 x 25,000円(手許) |
諸経費 | 10,750円 | 5% x (120,000円(材料) + 95,000円(工事)) |
合 計 | 225,750円 |
※単価:225,750円/60m2
= 3,763円/m2
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