2022/01/24
「バズり倒している《オワコン》に今求められているのは自前の流通の強化」(週刊生コン 2022/01/24)

先週1週間を振り返る月曜おなじみ週刊生コンではゆったりと冷静に物事を考察することができる大切な習慣となっている。破竹の勢いで広がる造粒ポーラスコンクリート「オワコン」。先行プロダクト「ドライテック」にも同様に言えることだが、今、何よりも求められているのは、自前の流通の強化だ。
自前の流通(供給システム)の強化
⚫︎先週の記事1: 「6号砕石敷き 防草シート下地 145,040円は《オワコン》88,800円でいいのでは?」あとだしじゃんけんワークス
まず、なんと言っても、先週の最大の気づきはこれだった。
家周りの定番、「防草シート下地に6号砕石敷きよりもオワコンの方が安い」という驚愕の事実。
一般の人もよく知るところだろう。
住宅地を歩いていて家周りを見れば、もちろん駐車場などは土間コンが施工されているだろうけれど、それ以外はたいてい砕石が撒いてある。
その下には見えないけれど、防草シートが施工されているってのがエクステリアの定番だ。
もう、何年もこの常識は続いてきた。
永遠に変わらないかのように。
そこに、生コン産業の辺境で起きたイノベーションが激震を与えている。
「コンクリなのに、防草シート下地に6号砕石敷きよりも安い」
この一行に集約される。
一般には知られていないかもしれないが、人が暮らす地域には「絶対に」生コン製造所が存在する。
オワコンは、そんな全ての生コン製造所で製造可能。
特殊な配合を要求しないからだ。
そして、そんなオワコンはなんと6号砕石のように取り扱いができる。
生コン車でも、あるいはダンプで生コン工場に引き取りに行ってもいいだろうけれど、現場に山にしておく。
それを砂利を運ぶように、一輪車で必要な場所に運び込む。
そんで、撒く(敷設する)。
あとは、踏む(転圧、締め固め)。
それだけ。
コンクリートだから次第に水和反応が始まって、翌日にはカチコチに固まっている。
ポーラスコンクリートだから水を通すので排水を気にしなくてもいい。
砂利と違って固まっているから、野良猫の糞尿に悩まされることもない。
防草シートではなく、コンクリなので、雑草が突き破ってくることもない。
(もちろん、端部など隙間があるところからは生えてくる懸念はあるが、そこはコーキングするなどで解消できるだろう)
⚫︎先週の記事2: 【福岡】「水勾配つけたくない」「平らなところでBBQしたい」「雑草取りとかしたくない」all round
⚫︎先週の記事3: 【静岡】「オワコンに普通に車乗せます。元々砕石敷き 防草シート下地の上に車乗せるつもりだったし」エクスショップ
⚫︎先週の記事4: 【福岡】「生コン打設終わったらその残コンをオワコンにしちゃいなYO」all round
⚫︎先週の記事5: 【埼玉】「コンクリートではなく、防草材という認識に改めよう。初のリアル施工見学会開催!」渋谷建材
そんな脅威の潜在性を有するオワコンの普及だがもうすでにバズっている。
「自前の流通を作りなさい」
この言葉は、僕の経営の先生安本隆晴さん(未来経営塾)が僕に告げたものだ。
誰かの作った流通に乗っかっているようでは絶対に成功はあり得ない。
時間がかかってもいいから自分自身で作り上げた流通を作れ。
胴元になれ、という意味なのだろう。
10年以上も前に僕のプレゼンに気色ばんで仰られたその一言を忘れる日は今もない。
つまり、自前の流通とは、全国各地で操業している生コン工場とのリアルな交流・ネットワークのことだ。
その後、GNN(元気な生コンネットワーク)といって、生コン工場有志らの集まりを提起した。
そこから、いかに当社が多くの生コン工場とリアルな交流をしているかは以下のマップに集約されている。
現在、その数は700を突破している。
オワコンはいわゆる通常配合(18−8−20Nなど)でも製造可能であることからも、この製造体制はさらに強化されていくことだろう。
そうなれば、先行プロダクト「ドライテック」にもいい影響が生まれる。
これまでドライテックの製造を躊躇っていた生コン工場も、一旦オワコンで味をしめれば、「ドライテックもやってみようかな」ってことになるのだ。
ある意味ではもう自前の流通としての生コン工場との連携は一定の水準に到達したとも言える。
今後はプロジェクト「生コンキャンプ」を中心に当社としては生コン製造者らとの連携を密にしていきたいと考えている。
⚫︎先週の記事6: 《生コンキャンプ》「生コン工場の、生コン工場たちによる、生コン工場のための、体験型ワークショップ」
自前の流通を作りなさい
僕たちが創造する価値「生コンクリート」(ドライテックやオワコン)が市場と顧客に届くためには製造だけでは足りない。
半製品生コンクリートは施工者の手により施工されてようやっと消費ラストワンマイルに届けられるのだから。
重点は「製造」から「施工」に移行している。
自前の流通を構成する製造はある程度の水準に到達した今、集中・専門家すべきは施工のネットワーク。
日本中、どこでも、施工者にとってドライテックやオワコンは「当たり前」の仕入れ材料。
そんな世界を実現すること。
きっと簡単だ。
生コン製造ではそれができたのだから。
ただ、何かを企んで、働きかけても、きっと彼らは動いてはくれないだろう。
共感が重要だ。
「オワコン、面白い、やってみたい。ドライテックもやってみたら、意外とできちゃうじゃん」
そのために、僕たちにできることは、これまで通り、粛々と市場と顧客から求められていることに僕たちの専門性からできることで応えていくこと。
本来ならとっても嬉しいはずの「プロダクトがバズる」という現象。
でも、意外なことに、そのこと自体が嬉しいというよりも、そのことでまたしても交流できるラストワンマイルとのこれからの物語に僕は今から興奮している。
宮本充也
オワコン工事一式原価例
(生コンビニ仕入れ配送料無料)
◆施工面積40m2
材料費 (配送料無料) | 80,000円 | 40m2 x 0.05m(50mm厚) = 2m3 x 40,000円(単価) |
---|---|---|
工事費 | 70,000円 | 2名 x 35,000円(日当) |
諸経費 | 7,500円 | 5% x (80,000円(材料) + 70,000円(工事)) |
合 計 | 157,500円 |
※単価:165,000円/40m2
= 3,938円/m2
◆施工面積60m2
材料費 (配送料無料) | 120,000円 | 60m2 x 0.05m(50mm厚) = 3m3 x 40,000円(単価) |
---|---|---|
工事費 | 95,000円 | 2名 x 35,000円(日当) + 1名 x 25,000円(手許) |
諸経費 | 10,750円 | 5% x (120,000円(材料) + 95,000円(工事)) |
合 計 | 225,750円 |
※単価:225,750円/60m2
= 3,763円/m2
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