2022/02/07
《granZ con》「新しい何かが生まれるときには必ず人と人との交流がある」(週刊生コン 2022/02/07)

特定の意図が促したのではない、強い意志すら必要ない、主体性を持った個人・ラストワンマイル群がそれぞれに交流・創発・循環することで自然に生じるのがイノベーション。あなたや僕の思い込みや信念じゃない。(週刊生コン 2022/02/07)
交流・創発・循環
⚫︎先週の記事1: 《セメントフリー》「海水とスラグだけで作った造粒ポーラスコンクリート」granZ concrete
⚫︎先週の記事2: granZ-con 実機試験練り - 2022/02/04@長岡生コンクリート -
⚫︎先週の記事3: 「超特殊コンクリート《granZ con》が果たして社会実装を見るために必要なこと」
先週生まれたgranZ con(グランツコン)。
高炉スラグ微粉末、高炉スラグ骨材、転炉スラグ、再生骨材、海水、高分子・急結材(re-con zero evo)を配合して製造された生コンクリート。
「大地を削らない、汚さない、蓋しない、循環するコンクリート」
環境に対して、完全ゼロインパクト。
この革命的なプロダクトはどうやって生まれたのか。
無論、僕が産み出したわけじゃない。
試験をリードした大学院生志賀くんが作ったのでもない。
あるいは、指導教授の細田先生や、奥村組土木興業の技術陣、顧問、誰か特定の意思のもとに作られたプロダクトではない。
それは、それは多くの人々が偶発的に絡み合い、いくつかの小さな脈を作り出して、それら脈が力強い生命力を有した一つの流れに統合され、結果生まれた。
特定の意図がコントロールできたものではない。
言葉にすれば、人々の交流・創発・循環が作り出した、ということなのかも知れない。
例えば、オワコンというブランドで生コンポータルが展開している造粒ポーラスコンクリートという系譜もその一つだ。
僕が作ったと言いたいところだが、事実はそうではない。
もちろん、僕が関与していた透水性コンクリートという脈、そして、ライフワーク残コンという脈、それぞれの脈に実に多くの人々が関与し、さまざまな知恵や体験が偶発的に生まれ、誰かの思惑からかけ離れてそれらは統合され、造粒ポーラスコンクリートという概念が生まれた。
その過程で、器としての生コンポータル(長岡生コンクリート)にはその社会実装のためのノウハウが蓄積されている。
ブログ、YouTube、SNS、DM、(オンライン)説明会、見学会。
発信の手段は整備され、消費ラストワンマイルのニーズを喚起し、施工ラストワンマイルがその受け皿として機能し、そのプロダクトの提供はご当地の生コン製造ラストワンマイルが機能する。
⚫︎先週の記事4: 《庭ファン》「草が生えなければ、それで良い」 《庭コン》「ドライテックだって当初はゴツゴツしてて嫌だと言われていた」
エクステリアのインフルエンサー庭ファンでの紹介も先行プロダクト「ドライテック」に端を発する。
その取り組みがあったればこそ、たまさか庭ファンに見出され、発信され、認知され、普及していった。
こうして、器としての生コンポータルというメディアが機能することで、さらに多くのラストワンマイルがその空間に流入し、プロダクトが消費されるために、施工され、製造される。
この経済循環のシステム、つまり、プロダクトやサービスにとっての「出口」があったればこそ、プロダクトは必要とされ届けられる。
だから、オワコン(造粒ポーラスコンクリート)はその生命力を失わず、一つの脈として力強く成長してきた。
一方、ゼロセメントコンクリートは全く別の地域で全く別の系譜・脈として成長していた。
担い手は奥村組土木興業という大阪を拠点とするゼネコンだ。
もちろん、単独で生み出された技術ではなく、造粒ポーラスコンクリート同様、多くの人々の交流・創発・循環の結果もたらされたプロダクトなのだろう。
建設資材、とりわけ、生コンクリートの革新的なプロダクトの常だが、「あまりにも新しすぎるコンクリート」はなかなか出口を見出しにくい。
御多分に洩れず、ゼロセメントコンクリートの社会実装(主に公共事業など)は難航を極めていた。
ある日、化学反応が起きる。
⚫︎参考記事: 「セメントを用いず海水で製造される生コンクリートを見学しました」奥村組土木興業
もちろん、有名だったので知識としては知っていた。
横国大の細田先生からその実験の話を聞きつけ、「おもろ。行って見たい」と思った。
「おじゃまでなければ伺ってもよろしいですか?」
細田先生には断る理由もなかった。
そして、二つの一見個別で関連性のなさそうな脈が太い脈として統合されたのだった。
そこからも、さらに、大勢の人々がこの脈に関わろうとしている。
元々修士論文のテーマとして造粒ポーラスコンクリートを採用していた大学院生志賀くんが主要人物だ。
彼のコンクリートに関する経験はここ1〜2年だけの限定的なものだが、そんな彼も多くの人々とときに衝突や対立、あるいは調和しながら、ここまでやってきている。
いろんな脈に接してきた。
そして、彼の学生仲間たちが新しく生まれたその脈を、granZ conと名付けた。
ゼロセメントコンクリート、造粒ポーラスコンクリート、そのあいのこ。
それぞれに、それぞれの系譜を有していて、特定の誰かの特定の意図でコントロールされ作られたものではない。
その脈を生み出したのは個人・ラストワンマイルの「行ってみたい」「やってみたい」「会ってみたい」ただそれだけの動機づけだったはずだ。
僕が認識しているだけでも、数え切れない脈が今も並行して流れている。
数限りない脈に、数限りない個人・ラストワンマイルが参画している。
それは意識的であったり、無意識的であったり、些細な交流や、一見重大そうに見えるものまで、多種雑多だ。
そんな流動的で一見無秩序に見える数多の脈を誰か特定の意図が制御・統制できるだろうか。
例えば、会社など組織が上位下達の組織構造で個人の一挙手一投足を統制することなんかできるはずがない。
生態系を支配しようとするような愚行だと思う。
何かを思惑通りに統制することなんか最初からできない。
なぜ、人々は、そんなことができると、いつしか考え違いを起こしてしまったのだろう。
あなたや僕にできることは唯一、その自然循環に身を委ねることだけだ。
何をよすがに自分の行動を決めるか。
それは、興味・関心、「やってみたい」「行ってみたい」「会ってみたい」。
動機づけはそれだけでいいと思う。
世間体、上司からの決めつけ、他人からの関与、強制、圧力、そんなものは無視していいのだと思う。
脈が健全に循環している時、それを振り返ってみると、その端緒はいつだって「会ってみたい」「やってみたい」「行ってみたい」が必ずある。
⚫︎参考記事: 《kr》「研修リゾート完成! ここで、ドライテックやオワコン他の体験もできるよ!」
特に、先週1週間は、多くの人々との交流に接し、無意識的にも意識的にも、いろんな刺激に僕自身もさらされ、そんなことを強く思うに至った。
循環、変化の中に、身を委ねる。
安心して、たまさか交流している、素敵なお歴々との時間を楽しんだらいいのだと思う。
宮本充也
オワコン工事一式原価例
(生コンビニ仕入れ配送料無料)
◆施工面積40m2
材料費 (配送料無料) | 80,000円 | 40m2 x 0.05m(50mm厚) = 2m3 x 40,000円(単価) |
---|---|---|
工事費 | 70,000円 | 2名 x 35,000円(日当) |
諸経費 | 7,500円 | 5% x (80,000円(材料) + 70,000円(工事)) |
合 計 | 157,500円 |
※単価:165,000円/40m2
= 3,938円/m2
◆施工面積60m2
材料費 (配送料無料) | 120,000円 | 60m2 x 0.05m(50mm厚) = 3m3 x 40,000円(単価) |
---|---|---|
工事費 | 95,000円 | 2名 x 35,000円(日当) + 1名 x 25,000円(手許) |
諸経費 | 10,750円 | 5% x (120,000円(材料) + 95,000円(工事)) |
合 計 | 225,750円 |
※単価:225,750円/60m2
= 3,763円/m2
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